2011年6月16日木曜日

「戦略サファリ」ヘンリー・ミンツバーグ(1) 書評83




齋藤嘉則 監訳、東洋経済新報社、1999年。原書は1998年。

20世紀における戦略セオリーのカタログと思えばよい。それまでの先行文献や研究を10のスクール(グループ)に分けて、それぞれの特徴や批判を掲げている。ミンツバーグの前には戦略論というのは数十年の歴史しかないので、とても微に入り細に入り、という具合だ。参考文献として掲げられているものも膨大で、この時点までの戦略セオリーの事典としての性格も強い。

大著であることもあるし、網羅的な文献である。経営はエキサイティングな行為であるが、経営学は退屈な営為であることが理解できる。国文学の専門分野で、「研究史の研究」がそうだった。源氏物語で言えば、あれが書き上げられたとたんに興味の対象となり、それはすなわち研究の始まりで、源氏物語の研究は何と1千年もの歴史がある。書かれた文献は無慮数千件(たぶん万の単位の研究文献!)。というわけで「研究史の研究」という学問分野が存在するに至る。

「戦略サファリ」が取り上げている研究史の時間枠は数十年しかないので、その網羅性は恐ろしく、網羅すれば網羅するほど退屈な分類作業となる。

ミンツバーグは戦略論におけるグル(教祖)の一人だそうだが、自分のオリジナルをはっきり打ち出せないこのような学説紹介作業は、学者としてもエキサイティングでない領域だと忖度する。

とはいえ、後学の私たちには益のある作業で、つまり誰かがやってくれればありがたい便利な整理なので、この本の整理に触発されて後数回取り上げることにする。

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