2018年10月16日火曜日

トヨタ社長は優れた経営者…巨大組織の「100年に1度」の再構築を断行(3)

ところがマーケットは全体として縮小傾向にある。国内の新車販売台数は1990年に778万台だったが、2017年には523万4000台と3割以上減った。人口減に加え、若年層の車離れが言われて久しい。言ってみれば、先行きは厳しい。

 そんななか、多数の車種を提供することはメーカー側としてのトヨタにとって大きな負担となってきた。今回の決定では、現在の約60モデルから売れ筋に絞った全30モデルほどにする、となった。

今回の変更は、バスケットボールでいうマンツーマン・ディフェンスとゾーン・ディフェンスに照らすと理解しやすい。従来のやり方だと、それぞれの系列が異なる顧客層(セグメント)を追い求めてきた。つまり、特定のターゲット・プレイヤーに密着するマンツーマン・ディフェンスの守り方であり、ここでは売り方だ。

 それに比べて今回の決定では、各系列は全車種を販売することになる。各ディーラーは自分の周辺地域に入って来たプレイヤー(潜在顧客)を収入レベルなどでセグメント分けすることなく、すべて攻めることになる。バスケットのゾーン・ディフェンスの考え方ですっきりと理解できる。

 トヨタの人気車種であるSUV「ハリアー」や高級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」は、今は1つの系列でしか売っていないが、全系列の全店での販売になればすべての見込み客に対して売り込むことができる。これが新しいゾーン・ディフェンスということだ。


カー・シェアへの布石か、系列販売の見直し


(この項 続く)

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