2018年1月13日土曜日

あんぱん有名な木村屋総本店、袋パン事業が「捨てる経営」でV字回復 (2)

――そうなんですか? でも貴社でもあんぱんを扱っています。

福永 木村屋総本店のスーパー・コンビニエンスストア向けの事業では、袋パン向けに独自に開発設計したあんぱんを、埼玉と千葉にある工場で製造しています。当然、あんぱんの老舗をルーツとする企業として、こだわりの生地とこだわりの餡を使用した、大手メーカーとは差別化した袋パンのあんぱんです。

――現在の事業構成をご説明いただけますか。

福永 木村屋総本店には、デパートなどで伝統的なあんぱんを中心に販売している「直営店事業」と、袋パンを製造・販売している「スーパー・コンビニ向け事業」に大きく分かれており、後者が売上全体の80%を占めています。

――福永さんは木村屋総本店には外部から5年ほど前に着任なさったのですね。外から来てみてパン業界の難しさは、どのようなところでしょうか。

福永 一番の特徴は日配(にっぱい)業だということですね。前日までに受注した一定のボリュームを、翌日の決められた時間までにはスーパーやコンビニの店舗に届けなければなりません。物流は時間がタイトで待ったなしの状態であり、受注から納品までのリードタイムが短く生産計画がとても立てにくい状況にあります。

 袋パンの場合、消費者が製造メーカーを認識しづらいほど類似品が溢れかえっていて、パンメーカーは数が多いので競争が激甚です。近年、コンビニ向けにはパン専業ではない食品メーカーがパンを提供したりして、新規プレーヤーの参入も続いています。もうひとつ特徴を挙げると、小売りの力がとても強い、言い換えると、メーカーサイドの提案力がとても弱いということです。

(この項 続く)

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