2014年6月10日火曜日

『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』カレン・ファラン(書評199-2)

著者のカレン・ファラン女史は、MITのMBAで、デロイトやジェミニなど大手でコンサルタントを勤めた。その後、ファイザーやジョンソン&ジョンソンなどの事業会社、つまりクライアント側のマネジャーでもあった。

コンサルの手法に大いに疑問を投げかけたのが本書であるが、現職はLexisNexis Risk Solutions社というコンサル会社で戦略担当のシニア・ディレクターである。本書も手の込んだコンサルタントの売り込み本と読むべきだろうか。

内容としては、彼女がコンサルトしては上手くのし上がって来れなかった来歴やプロジェクトを語り、その多くの原因を経営セオリーや、先輩コンサルが開発してきた改善技法の欠陥に帰している。

しかし、そういう面もあるのだろうが、筆致がどうも仕事を上手くこなせなかったビジネスパーソンがこぼしそうな愚痴にも聞こえて、彼女のパフォーマンス不足の原因がすっきりと納得がいかない。つまり、個人的な問題を一般論に差し替えて自己弁護しているような、、、

経営セオリーやコンサル技法についての限界や無用性、法外なフィーに関しての彼女の指摘には同感だが、どうも彼女自身にはあまり同感できない読後感だった。

そうそう、DeNa社創業者の南場智子さんが、マッキンゼーのコンサル上がりだったが、彼女も昨年刊『不格好経営』(日本経済新聞出版社)で
「コンサル時代の知識、経験など実経営には何の役にも立たなかった」
「昔のクライアントにあったら土下座して謝りたい」
としていたのを思い出した。

(この項 終わり)