2013年5月5日日曜日

『生き方』 稲盛和夫 書評172(2)

稲盛 和夫 氏
本書を経営書として読むのは難しい。もちろん稲盛氏は京セラ、そしてKDDIと大企業となった会社を2つも創業した名経営者だ。しかし、経営の成功、創業の成功術を説く部分は本書では少ない。

その具体的なアドバイスにしても、
― イメージが事前に湧き、明確なモノは成功する確率が高い
とか、
― 楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
など、「それはそうだろうけど」というレベルのモノで今更目を見張るような経営術が示されているわけではない。経営術の話しは第1章だけで、第2章は人生論、第3章は仏教説話、第4章は倫理論、第5章に至っては宇宙論である。

本書は基本的には仏教説話だ。しかし稲盛氏が現役の仏僧であることから、その説法に説得力があり、素直に沁みてくる。経営者たる者、身を慎まなければならないと教えている。

(この項 終わり)

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