2017年6月29日木曜日

日本郵政は大型M&Aから手を引いたほうがいい (1)

WEBRONZAは、朝日新聞が展開している「論の饗宴」サイト。


「各分野の第一線で活躍する学者や専門家、ジャーナリスト、アルファブロガー、朝日新聞の論説委員、編集委員らが日々、独自の視点からニュースに迫って解説を加え、論を交わしていきます。 「政治・国際」「経済・雇用」「社会・スポーツ」「科学・環境」「文化・エンタメ」の5分野に、約300人にのぼる筆者が、多彩な論考を提供しています。また、その時々の旬の人物のインタビューや定期筆者でない筆者の論考なども掲載されます。」(同サイトより)

私のタイトル記事が6月27日にアップされた。以下、回を分けて転載する。


日本郵政は大型M&Aから手を引いたほうがいい

野村不動産HDの買収を断念、トール社買収でも失敗、根強い「お役所体質」

2017年3月期の決算発表をする日本郵政の長門正貢社長(左)と市倉昇専務=5月15日

日本郵政は6月19日、野村不動産ホールディングス(HD)の買収案件について「現時点において検討を行っている事実はない」とのコメントを発表した。野村不動産HD側も「中止することになった」と発表した。
 買収計画が2017年5月中旬に表面化して以降、野村不動産HDの株価はほぼ2,000円から2,447円(6月16日)へと約20%も値上がりしてしまった。筆頭株主は野村証券を有する野村ホールディングスで33.7%を保有している。日本郵政は野村グループと交渉を行ってきた。
 野村ホールディングスは野村不動産HD株を約6,480万株所有しているので、2,400円時価だと評価額約1,550億円となる。M&A買収交渉なので、日本郵政はプレミアムを乗せなければならない。交渉額は2,000億円台となり、その価格で合意できなかった、ということだろう。
 一般市場から残りの株をすべてTOB(公開買い付け)するところまで日本郵政が踏み込むつもりだったのなら、さらにその2倍の資金投入が必要となった。つまり、最大で6,000億円規模の案件だった。

(この項 続く)

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