2016年12月30日金曜日

「2016経営者残念大賞」グランプリ 電通の企業文化を体現する石井直社長(5)

企業風土と戦わないサラリーマン経営者は、自らが抵抗勢力


 電通は12月9日に至り、「取り組んだら放すな」「殺されても放すな」などの言葉が記されている社員の心得、「鬼十則」を社員手帳に掲載するのを取りやめると発表した。同時に各部署での有給休暇の取得率50%以上の達成を目指すとした。「遅きに失した」ことではある。

鬼十則」は、電通中興の祖といわれる4代目社長、吉田秀雄氏によって1951年につくられ、電通社員、通称「電通マン」の行動規範とされてきた。電通にはほかにも有名な「新入社員富士登山」がある。今年でなんと89回目となった伝統行事だ。新入社員を先輩たちが支えてグループを形成して、登頂を競う、というものである。団体主義、精神主義を核とする同社の企業文化を形成してきたシンボル的な行事だ。

 石井社長自身も新卒社員としてこのような行事を潜り抜け、幹部としては主導し、その企業文化を体現した存在としてトップにたどり着いたわけである。大企業におけるこのようなサラリーマン社長が、企業文化や体質の変革に取り組むことは通常は難しい。何しろ自らがそのチャンピオンだからだ。

(この項 続く)

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