2011年11月4日金曜日

「新・資本論」大前研一 書評100



東洋経済新報社、2001年刊。

2年ほど前から当ブログにアップしてきた「書評シリーズ」。主としてというか殆どがビジネスと経営書を取り上げてきた。記念すべき100回目は、巨人大前研一の旧著。なんと「翻訳書」である。本書は2000年にアメリカで英語による原著が発行された。翻訳版は吉良直人の訳により、大前氏によるものではない。その割に達意に訳出されている。欧米で英語による発表を続けている日本人はもちろん少ない。経営学の分野では野中郁次郎を筆頭とするが、大前氏の彼の地での知名度はそれに次ぐと言われている。

大前氏はやはり大したもので、著作12年を経てもその内容に違和感は無い。ばかりか、同時代を生きている「ビジネス預言者」の如き存在だった(現在ではそれまでの存在感は無いが)。本書の美点は、ビジネスの状況に対して「旧大陸と新大陸」というメタファーを持ち出して、鋭利に新しい状況や近未来的に起こるべき状況を描き出し、ビジネスパーソンが準備すべき対応を解き明かしたところにある。

もちろん、社会情勢とは全てが一気呵成に白から黒へ変革異動するわけではないが、変革の方向を指し示した点で優れている。

大前氏は頭が良すぎるのか、本書におけるパースペクティブもカバーが大きすぎて、後半は国家論にまで展開している。その部分を思い切ってカットして別の書としたら、格好のビジネス啓蒙書となったと思う。素晴らしいできの重すぎる本。

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