2017年7月1日土曜日

日本郵政は大型M&Aから手を引いたほうがいい (3)

日本郵政は大型M&Aから手を引いたほうがいい

野村不動産HDの買収を断念、トール社買収でも失敗、根強い「お役所体質」


2017年3月期の決算発表をする日本郵政の長門正貢社長(左)と市倉昇専務=5月15日

日本郵政が赤字に沈んだ最大の原因は、郵便事業を担当、展開している子会社、日本郵便が3,848億円の当期損失を計上したからだ。そしてその原因は、15年に日本郵政が買収して日本郵便の子会社とした、オーストラリアの物流会社トール社ののれん代を全額減損処理して4,161億円の損失を計上したことにある。
 のれん代とは企業をM&Aした時、相手側の純資産額と買収価格の差額として計上されるものである。15年に6,000億円強を投資して買収したトール社には、4,000億円強も余分に払った。その時点ではその差額は回収できるとしたのだが、17年3月期になって、それを諦めたので損失計上した、ということだ。
 日本郵政はそのリカバリー・ショットとして野村不動産HDのM&Aを目指した。ところがトール社という大型投資案件の失敗に懲りた内部や大株主である政府の慎重派が、野村不動産HDの株価伸長によって不安の声を大きくしたので、今回のディールは流れてしまった、という成り行きだ。
 つまり、一連の騒動はトール社に始まり、トール社で終わったということだ。

(この項 続く)

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