M&Aにより業績を急激に拡大するのは、有効であり危険である。問題はRIZAPの内部にPMIに長けた経営資産があったか、機能したかである。
PMIとはポスト・マージャー・インテグレーションのことで、買収した後にその子会社を本体に一体化させる作業のことをいうが、別に一体化しなくともそれぞれの会社の業績を伸ばせればいい。要は安くM&Aをして、それを迅速に事業再生する経営力があったか、ということだ。
M&A巧者として知られているのは、日本電産の永守重信会長兼社長だ。永守氏のM&Aを見ていると、まずコア事業であるモーターの関連事業の会社を買い集め、それらの技術を束ね上げるという一貫した方針がある。
そして、M&Aの対象候補となった企業のEBITA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)の10倍までしか金を出さないという財務指標がある。
さらに、買収したら側近を送り込んで数年の間に日本電産流を徹底的に植えつけるという確立したPMI技法がある。つまり、「M&A勝利の方程式」があるのだ。
永守式M&Aに比べて今回の瀬戸社長の発表を見てみると、まるで反省発表会のように聞こえる。
(この項 続く)
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