2011年1月31日月曜日
「ダイナミック戦略論」河合忠彦(1) 書評64
しばらく書評のアップに時間が空いたのはこの本のせい。国際経営戦略研究学会に旧年末に入会したので、学会長のものを読んでおこうと思った。ペーパー(論文)ではなくブック(単行本)で最近のもの、ということだ。河合氏は中央大学ビジネススクールの教授。
本書は本格的な学術書なので、先行学説や文献が横溢していて、世に氾濫するビジネス書のように読み飛ばされることを拒否している。この1年で読んだものの中ではバーニーの「企業戦略論」(ダイヤモンド社)以来の手強さ。発行が有斐閣だし。
延々と先行セオリーの紹介と批判が続き、それに3分の2位を費やしている。学術書なのでそのバランスについては仕方のないことだ。
本書の白眉は、先行戦略セオリーを「静的戦略」という視点からとらえ、それへの限界を指摘することから「動的、つまりダイナミックな」戦略セオリーの構築を標榜していることだ。
本書についてはこの後数回に分けて触れることにする。
2011年1月30日日曜日
ゼネコン経営者、海外展開の陥穽を語る
29日(土)は九段クラブの月例勉強会。九段クラブはもうすぐ設立30年を迎える。
今回は、設立時からの会員で誰もが知る大手ゼネコンの経営者となったK会員が昨今の建設業界について解説してくれた。
話題となった論点の一つに、この業界がどうして国際化しないのか、できないのかということがあった。建築業界に外資が本格参入したという話は未だ聞かない。K会員からは犀利な分析と説明があり、皆納得。
この論点でK会員自身が嘆いていたのが、日本の大手建設会社の海外進出や展開のまずさ。
「何千億円というプロジェクトを契約したはいいが、売り上げをきちんと回収できた例の方が少ない」
ということだ。
この点うまくやっているのはヨーロッパ系の企業だろうというのは、私が提出した推察。
性善説とか当方はまじめで正直などの、日本人の本質的な性向と、契約の周到な条項立てとその運営にまだまだレベルが低いと言うことだ。
「英語力や渉外弁護士を入れるなどを越えた問題点が存在する」
と、国際人からなる九段クラブでは慨嘆しきり。
2011年1月28日金曜日
社長業とコンサル稼業、どちらがいいだろう
昨日、打ち合わせ先の社長にランチをご馳走になったときに
「もう(普通の)会社の社長はやらないのですか」
と聞かれた。
今のライフスタイルの方がよほどよい。
私の場合、仕事のやり方としては個人事務所、つまりSOHOなわけで書斎で資料を準備している。経営書、ビジネス書を読むのも仕事のうちとなる。
SOHO形態がよいことは、まず職住接近というか、完全な場所の同一化だ。真夜中に机に向かっていることもあれば、昼寝をしていることもある。完全な「晴耕雨読」というわけではないが、スケジュールは自分で調整できるので平日にテニスを楽しむこともできる。
昨日のランチには、私の長年の友人も同席していた。一部上場企業の代表取締役専務を務めて昨年退任した人だ。
「取締役の経営責任は退任後5年間で時効となる。株主代表訴訟などをその間起こされなければめっけものと仲間内では話しているんだ」
とのこと。
日本の会社では特にそうだが、経営者のあの激務とそんな責任、そしてそれに対しての報酬レベルを考えると、
「もうそんな話を持ってこられても」
と思わざるを得ない。
ちなみに私に来た最後の話は、一昨年とある一部上場企業の社長に、というものだった。サーチ会社からの打診に、当該企業の名前も聞かずにお断りした。
来週も出講ラッシュ
先週は出講が四つありずいぶん忙しい思いをした。
そう思ったら、来週も四つありそのうちの一つは地方での経営指導が入っている。
サイトの方をみてもらえばわかるように、大手の研修会社での公開セミナーなども結構やらせてもらっているが、それ以外に特定企業での指導や幹部・管理職研修などが入っているわけだ。
私のような独立型でコンサルタントやセミナー・管理職研修などを行っていると、1出講について大体一日準備する。だから、先週や来週などはハイペースのこととなり、繁忙感が強い。今週はいわば谷間の週で、打ち合わせや教材・資料の準備などを行っている。
せっかく声をかけてくれたクライアント企業の業績改善や企業価値向上に少しでも奇与できればよいと力を尽くしているつもりだ。
2011年1月27日木曜日
SMBC「部長セミナー」反響
1月22日(土)に実施した公開セミナー「部長力を磨け ー戦略の立て方(午前) ーコミュニケーション力を磨け(午後)」(SMBCコンサルティング主催)の参加者からいくつもメールをいただいた。一部を紹介する。
「大変感銘深く、私にとって視界が開け広い道へ導かれたという印象と感動を受けました。
これまで自分たちの持っている限られた考え方ややり方で解決できない問題がいっぱいありますが、輝かしい実績に根ざした先生のご指導に動機づけられ、「シナリオ・ライティング」や「戦略カード」などで思考・思索を固定する演習も早速自分の仕事の中に組み込んでみました。この方法で立てたxxxxxの戦略案は上司に採用されました」
「先日1月22日はセミナーありがとうございました。非常に参考となる内容でした。
早速実践出来ることには取り組んでまいります。
今回は会社役員からの勧めで受講いたしましたが、次の受講機会があれば自ら先生のセミナーを受講したいと思っております」
「セミナーの内容が先生の実体験からの内容でしたので非常に分かりやすく
今の自分の立場に置き換えて考えたときに、できていないことや考え方や
見方が違うなどいろいろな気づきがありました。まずは先生の本を読んで
みます。有難うございました」
2011年1月24日月曜日
2011年1月22日土曜日
セミナー参加者からのメールで褒められる
SMBCコンサルで部長力強化セミナー 2講義
2011年1月21日金曜日
飲食チェーンで経営戦略プログラム開始
2011年1月19日水曜日
昨日のセミナー「すこぶる評価の高い」
2011年1月18日火曜日
りそな銀行の岩田直樹頭取が、私のセミナーに登場
2011年1月17日月曜日
プロ経営者インタビュー記事
2011年1月16日日曜日
新著用に井上和幸さんと対談
ブートキャンプ参加者、著書を刊行
新将命さんの特別講義
経営戦略「RDSPモデル」を説明
2011年1月13日木曜日
個人指導の楽しみ
昨日に続いて同じ会社で終日指導。
昨日の午前中は8名の部長さんを一緒に、組織論を講義。その後昨日の午後は3名、本日は5名を各80分ずつ個別指導。
この形式で今回が第3講となる。個別指導で、各自の部門戦略の立案をしてもらっている。後1回やって、その後は経営陣に対して発表大会を挙行する。
8人が当たり前だが別々の分野を担っているので、個別指導の内容もバライエティに富む。最後は発表のテキストも添削するわけで、緻密で密着した指導形態を取っている。
ずいぶん教える方も大変なのだが、「風景」が皆異なるので楽しい指導だ。皆さんにも幸い評判がよい。お昼は当社の副社長からランチをご馳走になりながらそのようにうかがった。嬉しい話だ。
昨日の午前中は8名の部長さんを一緒に、組織論を講義。その後昨日の午後は3名、本日は5名を各80分ずつ個別指導。
この形式で今回が第3講となる。個別指導で、各自の部門戦略の立案をしてもらっている。後1回やって、その後は経営陣に対して発表大会を挙行する。
8人が当たり前だが別々の分野を担っているので、個別指導の内容もバライエティに富む。最後は発表のテキストも添削するわけで、緻密で密着した指導形態を取っている。
ずいぶん教える方も大変なのだが、「風景」が皆異なるので楽しい指導だ。皆さんにも幸い評判がよい。お昼は当社の副社長からランチをご馳走になりながらそのようにうかがった。嬉しい話だ。
2011年1月12日水曜日
出講初めはユニークな業態
本日、某社で部門長へ部門中期戦略立案の指導。今日と明日。
当社の事業内容を聞いて、他に類がない内容であることに一興。
まず、B-to-BでありB-toCである(両方を兼ねている)。プロダクト・ライフ・サイクルが恐ろしく長い(後数十年続くと思われる)。大変な高収益で勝つキャッシュ・フローが高いビジネス・モデルである(なんと前払いを受けている)。
以上の要件でどんなビジネスか当てられる経営学者やコンサルタントはいるだろうか。戦略論的にとても興味のある会社だ。経営当事者としてはとてもうらやましい業態でもある。
当社の事業内容を聞いて、他に類がない内容であることに一興。
まず、B-to-BでありB-toCである(両方を兼ねている)。プロダクト・ライフ・サイクルが恐ろしく長い(後数十年続くと思われる)。大変な高収益で勝つキャッシュ・フローが高いビジネス・モデルである(なんと前払いを受けている)。
以上の要件でどんなビジネスか当てられる経営学者やコンサルタントはいるだろうか。戦略論的にとても興味のある会社だ。経営当事者としてはとてもうらやましい業態でもある。
2011年1月10日月曜日
「英語で日記を書いてみる」石原真弓 書評63
2001年初版ペレ出版。その後版を重ねてロングセラーになっている。この本がこのごろまた注目されているのは、楽天やユニクロが社内公用語を英語にしようということで、ビジネスパーソンに英語学習へのプレッシャーが高まっているからという説明がなされている。
理由があって、英語に関する本をチェックしていて取り寄せた。
Chapter12ある全体の、開いてみれば何とChapter8までが学校英文法という構成。
とはいえ、本書を契機に英語で日記を書き続ければ英語力が高まることは間違いないだろう。
ビジネスパーソンの英語力で重要なのは、実は英作文力、つまり「書く力」だ。メールはもとより、レポートを英語で書く力、これが無ければ現実のビジネス場面ではなかなか通用しない。
私も自著で何回か振り返ったことだが、まず英文コレポン(英文レターなどのこと)の作文から英語を始めた。
新年なのでパソコンを新調
使っていたノートブックPCのHDがいっぱいになって来たのと、キーボードや設定にいろいろ不具合が出てきた。限界を感じたので大問題になる前に、買い替えることに。
新しいモデルは、ソニーのVAIO. OSはWindows7としたので、選択はいくらでもあったが、「デスクトップでモニターが大きいもの」というコンセプトで探した。モニター単体などを組み合わせると、いろいろなものが選べるが、既成品のデスクトップでモニター最大というと、ソニーVAIOが24インチでこれに決定。
キーボードとマウスはワイヤレスで電池稼動ということで、モニターとの位置の自在性が高い。モニターを机の奥に、キーボードは机とは別の小デスクに置くことに。この小デスクは普段は机の下に収納できる。机との段差にキーボードはそのまま置いておける。
問題は、旧PCからのメールやインターネット、そしてファイル類の引っ越し作業と再設定である。一応外付けHDDにもコピーを取ってあるが、明日専門家に来てもらって各種の再設定作業をしてもらう。
何のかんので20万円くらいの出費となるが、当方の商売としては書籍購入の他にはまとまった設備投資はこれくらいなので気にしない。むしろ快適なSOHO環境の確立を目指したい。
「はじめてわかった決算書プロのコツ」松田修 書評62
昨年のブログで「図書シリーズ」として60冊の書評を掲げた。ほとんどが経営書、ビジネス書だったが数冊のミステリーも取り上げた。今年も読み進んで行く。多くが時のベストセラーとは「ならない」。
本書は幾つもの美点を持っている。リイド社2008年刊。
- 薄い
- 大判
- 活字が大きい
- 字数が少ない
- 資本変動策などの高度なことを扱っていない
つまり、結果として分かりやすい。
私も経営の現場にいた時は、おおむね二つの財務指標に目を凝らしていた。つまり、経常利益とキャッシュ・フローだ。会社は儲からなければならないし、儲かってもカネが回らなければつぶれてしまう。売上高より、この二つの方が大事ということだ。社長としては、他の財務指標についてはCFOに心配してもらえばよい。それぞれの分野にそれぞれの有能な専門家を抱えるのが組織経営というものだからだ。
2011年1月9日日曜日
広告代理店での戦略指導、第3講は組織再構成
新年始動、経営戦略プログラムで経営者と勉強する
幹部に足りないものは「戦略立案力」 原稿を書く
月次で連載している、某メガバンク系のメルマガ(5万社の経営者に配信!)の原稿を書いた。
タイトルは
「幹部に足りないものは戦略立案力」。
およそ幹部にたどり着いたような人材は、貢献を示し実績をあげてきた。だから組織の中でのリーダーシップやコミュニケーション力には優れている人たちが多い。
ところが、一たび状況が変わり、「新しいやり方」を求められると、そのような幹部ほど「成功の復讐」に捉われてしまって上手くやることができない。すなわち、戦略の立案力の欠如が露呈されてしまう。
そのような人たちに、私の「戦略カードとシナリオ・ライティング」メソッドで戦略立案を訓練伝授できるということを書いた。
タイトルは
「幹部に足りないものは戦略立案力」。
およそ幹部にたどり着いたような人材は、貢献を示し実績をあげてきた。だから組織の中でのリーダーシップやコミュニケーション力には優れている人たちが多い。
ところが、一たび状況が変わり、「新しいやり方」を求められると、そのような幹部ほど「成功の復讐」に捉われてしまって上手くやることができない。すなわち、戦略の立案力の欠如が露呈されてしまう。
そのような人たちに、私の「戦略カードとシナリオ・ライティング」メソッドで戦略立案を訓練伝授できるということを書いた。
ブートキャンプから羽ばたいて行く経営者たち
新年に、二人の参加者から新社着任の知らせをいただいた。前期でも途中で新しい会社のポジションに着任された方がこれも二人いた。
4人のうち、前期の一人は著名な外資からこれも知られた会社のマーケティングの責任者への転身だった。残りの三人は、社長さんから事業部長への転出である。
「経営者から事業部長へ?」
と思われる向きもあるかもしれない。しかし、企業規模や売り上げなどではより大きな組織への転出で、実質的には責任や権限も増す。そのポジションで実績を積めば、その会社あるいは別のところでCEOの口がまたかかることだろう。そのステップで、以前に経営者だった経歴があるのはとても強い。なにしろ、社長というポジションは唯一無二のもので、その経験値というものはセオリーだけでは如何ともし難いものがあるからだ。
経営者ブートキャンプにはオーナー経営者も多いが、外資などの雇われエグゼクティブもいる。後者の場合、最後のキャリア到達は実際にはこのように螺旋形で登っていくことが多い。そして、最後に50代で真のCEO経営者として勝負をかけ、実績を残すこととなる。
彼らはまさにそのようなキャリアの最後の階段に上る前に、ブートキャンプで経営者としての底力に磨きをかけている。皆さんの前途に大いなる実りがあらんことを祈る。
2011年1月4日火曜日
次の著書のゲラの赤入れ
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