権力への強い執着
同記事で稲村氏は、2月に東芝が米原発子会社ウェスティングハウス関連で約7000億円もの巨額損失を計上した案件についても、西室氏の責任を追及している。
「いま西室氏の出身母体である東芝は巨額損失で危機的状況だが、その原因となった米原発会社ウェスチングハウス社の巨額買収に当事者としてかかわっていたのが、東芝相談役だった西室氏でした」
日本郵政と東芝のこれら2大損失について西室氏一人がすべて責任を持っているかはともかく、それぞれの買収決定について深く関与していたことは間違いないだろう。
西室氏は経営者として3つの大企業に関与してきた。東芝、東証、そして日本郵政である。その傍ら、公職としては経団連副会長、日米経済協議会会長、安倍政権が戦後70年談話をまとめた有職者懇談会の座長などを歴任してきた。そんな西室氏の経歴は、「肩書コレクター」、あるいは「名誉欲は人一倍強い」などとも評されてきた。
西室氏が経営してきた3社とのかかわりと、強い公職への意欲から私が感じるのは、同氏の「新しい権力の獲得への強い意欲」と「一度手にした権力への粘着質的なまでの強い執着」の2点である。
(この項 続く)