2010年11月30日火曜日
「ネット通販の教科書」池本克之 書評58
ユナイテッド・ブックス発行。2010年刊。
経営者ブートキャンプの特別講師、池本克之氏の書。池本氏は「上場請負経営者」の異名のもと、ドクター・シーラボ社とネットプライス社の二つのネット通販会社を経営、上場させた。
ネット通販の裏も表も知り尽くした池本氏が、ネット通販を始めようかという個人向けに優しく書き起こしている。だからとても理解しやすい。
読みやすいが、しかし奥も深い。私がカタログ通販の世界で、世の中で一番先行していたシアーズ・ローバック社の日本法人でマーケティング・マネージャーをしていたのが1987年だからほぼ30年前。
そのころ、最先端のように言われていたRFMなどが丁寧に解説されている。ちなみにRFMとはRecency, Frequency, Monetaryの略で通販客の優良度のランク付けに使われる。
実践体験と理論の両方からきちっと書かれている良書である。
2010年11月28日日曜日
「飛び出せ!科学くん」ナスカの地上絵を落書き(2)
プロデューサーのヒエダ氏【男性】から電話をもらう。
ヒ「番組内で’許可を得ている’などのテロップや説明は無かった。しょこたん猫の描出をしたのは私有地であり、過去にも地上絵の描出法の検証のため使われていた。後ではもちろん消してきた。しかし、そのことも番組内では触れていなかったので言葉足らずだった」
私「本物の地上絵の回りが空から見たらショコタン猫やらスヌーピーだらけになったらどうなるのか。今回は消してきたが、そんな試みが例えば3千年後に残ったら、本来の文化財と何が何だか分からなくなってしまう」
私「今回のような試みは、京都奈良の文化財に落書きを残してくるような風潮を助長するものだ。あるいは、朝日新聞が沖縄の天然記念物サンゴに傷を付けて社長が辞任した様な案件につながる」
ヒ「今後このような番組のときは、テロップなど配慮したい」
私「それもそうだが、ナスカの地上絵という世界遺産文化財とショコタン猫の漫画を並べると言うのは程度を疑う」
ヒ「格調高い番組を目指していきたい」
2010年11月27日土曜日
「飛び出せ!科学くん」(TBS)ナスカの地上絵を落書き(1)
11月27日(土)17時ごろに、TVのチャネルをまわしていたらTBSの「飛び出せ!科学くん」という番組を見た。
田中某という男性タレントが南米ペルーを訪れ、例のナスカの地上絵をセスナから望見している。それはよいのだが、その後現地のスタッフを雇って、自分で別の地上絵を描くという試みをしていた。描き出したのはショコたん(中川祥子という女性タレント)が書いた猫のイラスト。それをまたセスナから望見して「ナスカの地上絵を描いた!」と喜んでいる。
私は大した愚挙だと思い、TBSに抗議の電話をかけた。番組スタッフという男性のモリザネ氏と話す。
私「ナスカの地上絵は世界遺産クラスの重要文化財である。それと同じ地域に漫画を描くとは、重大な問題ではないか。重要な文化財に落書きを残してくると同じような行為だと思う」(世界遺産だった)
モリザネ氏「撮影に当たっては許可を得ている。そのむね、テロップを出したはずだ」
私「私は見ていない。それは確かか」
モ「テロップで無ければナレーションで話したはずだ」
私「それはますます聞いていない」
小さなテロップなら見落としたかもしれないが、ナレーションがあったなら聞き逃さなかった。
私「あんなことをして、これから次々とナスカに大規模な落書きをする人が出てきたら、本来の地上絵の文化価値はどうなると思うの?」
モ「消して来ました」
それも番組では放送されていない。それに消したからってこの成された愚挙は取り消せないし、あまつさえそれをオンエアして悦に入っているわけだ。
「モリザネさん、あなた確かなことを言っているの」
とつっこむと
モ「担当者から後で電話させます。」
と。
間もなく電話をもらったらまたモリザネ氏。
モ「猫の絵を描いたのは私有地でした」
つまり前述の「許可をえていた」というのは政府や行政機関などのちゃんとしたところでは無かったわけだ。やはり、適当なことを言っていたわけだ。
明日、プロデューサーから電話をもらえるそうなのでまた書く。
「逆境を乗り越える者」ソネンフェルド&ウォード書評57
ランダムハウス講談社、2007年。
この本が日本で訳出出版された意図が分からない。内容は、不本意な解雇をされたCEOが充電期間を経て、別の会社のCEOとして再起する話。実例も豊富だし、まあそれなりに読み物としてはというところだ。
しかしたとえば最後の章が「逆境を乗り越えて勝利をつかむ」として7つの教訓がまとめあげられている。これらの教訓が必要な経営者が日本にどれだけいるというのだろうか。具体的にだれか個人名を私は上げることができない。つまりとある名のある会社を追われて、後日全く違うこれも名のある会社の経営者として着任して成功したというパターンの人である。
個人名を思いつかないくらいだから、この本を必要とする潜在読者は日本には二ケタもいないのではないか。そんな特別なケースの経営者にはたとえば私のような者が個人的に助言してあげればすむことだ。
「読み物としては」と前述したのは、「人の不幸は蜜の味」みたいなケースが幾つも書かれているところだ。玩具のマテル社のCEOを2000年に解任されたジル・バラッドには総額5千万ドル近いパッケージが支払わされたそうだ。50億円という巨額である。それについて本書は
「株価の70%下落を招き、アメリカ史上でも最悪の買収をかじ取りした責任者としては信じられないほどのすばらしい餞別」
とのコメントを紹介している。
これらの興味深いケースの羅列は、しかし考えてみればアメリカCEOゴシップ誌という位置づけに収まるのではないか。つまり、登場紹介されているCEOを芸能人やセレブに、「解任事件」を「離婚スキャンダル」にそれぞれ置き換えると本書の構造が見える。もっともらしい解説や教訓の引き出しもゴシップ誌にはつきものというわけだ。
2010年11月25日木曜日
「こうなったら無敵の営業マンになってやる!」ブライアン・トレーシー 書評(56)
ダイヤモンド社、2003年刊。
20分で読了。売れる営業になるためのTipsが21に要約されて示されている。各章の各項目見出しだけ読むと、それぞれの本文は読む必要が無い(ほど分かりやすい)。著者によると、「セールスに関する本は4千冊以上出ている」そうだ(もちろん世界では気の遠くなるほど出ている)。この本の良さは、短いこと、くどくどと書いていないことなど。主張に違和感はないのでたぶん正しいことを説いているのだろう。
9章で「幸運や成功の85%は人間関係で決まる」と喝破している同じ著者が、第6章で「できる人ほど勉強熱心、自己投資をせよ」なんて言っているのは、著作をするために項目出しに悩んだ結果か。人間関係ですべてが決まるのならあくせく勉強などする必要はないだろう。迷える著者よ、経営者ブートキャンプで学びなさい。
「戦略論」の大欠陥
とある「戦略論」を専門とする経営学の教授の話をじっくり聞く機会を得た。その先生が最先端の戦略論を講じてくれる公開セミナーがあったので参加したのである。現在のアカデミーでの理論の到達レベルと最先端を知りたいと思った。
その教授の著書の抜粋が配られ、そこに次のような文章を見た。
「・・以上によって環境分析と優位性分析が終了すると、次のサブ・プロセスは具体的戦略の形成である。(1文略) この具体内容は企業ごとに異なり、一般論としては論じにくい・・」
つまり、肝心の戦略立論の方法論は提出せず、「それぞれの企業がそれぞれにやれ、考えろ」と言っているわけだ。
私は従前から
「現今の戦略論というものは、種々の"分析"(つまり前手順)と、作られた戦略の分類(つまり後手順)だけだ。肝心の立案論、あるいはその方法論と言うのは誰も示していない(少なくとも私は不学にして見ることが無い」
と指摘してきた。
この、真ん中の部分となる立案方法こそが企業側が真に求めている部分だろう。そこにアカデミーは答えていない。まだブラックボックスのままにしておいて、その前後だけを詳細に議論を続けている。
私は曲がりなりにも「戦略カードとシナリオ・ライティング」という方法論をかざしてたとえば経営者ブートキャンプで指導・実践している。
2010年11月21日日曜日
「八甲田山死の咆哮」新田次郎 書評(55)
2010年11月20日土曜日
経営者ブートキャンプ同窓会
戦略はダイナミックに変遷させろ
本日は経営者ブートキャンプ第2期の第2講。
課題図書の討議として、『企業戦略論』(ジェイ B. バーニー、ダイヤモンド社)を読む。第1章と第3章をそれぞれの報告者を前回指名しておいた。他の参加者には、「感想文」の事前提出を要求。全員が準備してきてくれて、レベルの高い討議をしてくれた。
企業戦略が実際にはどう形成されていくかについては、創発戦略を時間枠の推移と与件の変化に伴って、段階段階で手直しや追加をしていく「創発・創発戦略」が実状であると述べる。実際の経営者の皆さんの実感にも合致した。
意図的戦略は、経営資源が豊富な会社のコーポレート部門ぐらいしか実施しないだろうし、意図的戦略を準備しているうちに状況与件は絶え間なく変化してしまっているので、有効度が低い。
2010年11月17日水曜日
「静かなリーダーシップ」ジョセフ・L・バダラッコ 書評(54)
翔泳社、2002年。経営者ブートキャンプ第1期で課題図書として『最前線のリーダーシップ』(ハイフェッツ&リンスキー、ファーストプレス)を取り上げた。本書はそれに連なる傾向を有していて、興味深い。
その「傾向」とは、「リーダーシップって単純なものではない」ということだ。経営者ブートキャンプに参加してくれているのは実際の経営者であり、私もそうだった。リーダーシップの現場から遠いビジネスパーソンほどきっと単純でヒロイックな意思決定や動作などを夢想しがちなものと思う。本書は、リーダーシップの現場が実は混沌としてリスキーなものであり、それを上手く渡り歩いていかなければゴールの実現が難しいということを示している。
ただし、その状況が実際に混沌として複雑であるので、その実態を示すべき分かりやすいケースの提示が本書では前半くらいで種切れの感が否めない。後半のケースでは「概念のモデル出し」が前半ほどクリアに行われていない。
箱田忠昭カリスマ講師のセミナーで充電
沖縄での講演が小冊子に
2010年11月16日火曜日
来年は本を2冊出す
来年11月の出講依頼
今週は身体と心のリハビリ
2010年11月15日月曜日
ロジカルシンキングを1日セミナーで教えた
2010年11月13日土曜日
今日はマーケティングを教える
2010年11月12日金曜日
東京ベイコート倶楽部で講演
いやはや、東京でのハイソなクラブといえば、30年前ならアメリカン・クラブ、20年前ならホテル・オークラの中のクラブ、10年前までは東京シティ・クラブだっただろうか。
現在ではお台場に「目立たぬように」威を放っているのが東京ベイコート倶楽部である。メンバー以外には徹底的に排他的にすることでプレステージ感を演出している。本日のブログタイトルからリンクが張ってある。
ここでのイベントはだから、「外部公表を控えてくれ」との依頼があった。企業研修や個別コンサルの場合、企業名を明かさないのは職業倫理みたいなものだが、今回は半公開(希望者のみ)であり半エクスクルーシブ(関係者のみ対象)という異例のもの。
という訳で、事前に私のブログやサイトにもアップしなかった。テーマだけ記しておくと、「コミュニケーションと成功人脈というもの。
http://baycourtclub.jp/
2010年11月9日火曜日
広告代理店で部門戦略策定研修開始
中堅の広告会社で部門長8名を対象とした実践研修を開始した。
5講に渡り、実際の部門戦略を「戦略カードとシナリオライティング」の方法で作ってもらう。
今日はその第1講として、下記を実施。
1. 成長戦略の実践事例、その有効性についてー山田の経営事例から
2.戦略策定の方法の解説
3.目標設定と目標合意
4.課題図書の引き渡しと感想文書式の解説
皆さん積極的に参加してくれて活気がある。
5講に渡り、実際の部門戦略を「戦略カードとシナリオライティング」の方法で作ってもらう。
今日はその第1講として、下記を実施。
1. 成長戦略の実践事例、その有効性についてー山田の経営事例から
2.戦略策定の方法の解説
3.目標設定と目標合意
4.課題図書の引き渡しと感想文書式の解説
皆さん積極的に参加してくれて活気がある。
2010年11月5日金曜日
来週は出講ラッシュ、死のロード
セミナーや企業研修の講師を務めている者にとっては、1年のうちで秋が一番多忙な時期である。
来週は私も4回、4日間別のところで喋繰りまくることになっている。ノドが強くないので、ケアしなければならないし、ピン・マイクを使用することにより声を張り上げないように注意しなければならない。
合間を縫って、新しく「説明に来てくれ」という企業への訪問もこなしている。箱田忠昭さんのインサイトラーニング(株)にも籍を置かせていただいてもいるが、それ以外はフリーランスで活動しているわけだ。
フリーの講演・研修・セミナー講師としてはありがたいことに十分多忙となってきている。
各社や、さらなる能力開発を目指している経営者や幹部の方に少しでもお役にたてれば嬉しいことだ。
2010年11月4日木曜日
「孫子」岩波文庫 書評(53)
主だった経営誌が月刊誌だったころ、定番企画として繰り返されたのが「戦国武将」と「孫子」など内外古典の戦略・戦術だった。経営は競争なので、その最たるものである戦争に学ぼうというわけだ。
確かに「経営戦略」という言葉使いに見られるように、戦争用語は経営状況の説明にたくさん借用されている。私自身も「戦略論」を語っているわけだ。
しかし、「孫子」のような「本当の戦争」のやり方論と「企業」の戦い方では決定的に違うことがある。
その第1は、相手をせん滅できないこと。
その第2は、戦う相手が戦争ほど鮮明で特定できていないことがあり、多くの場合は「競合者」という名前の多数者であること。
「彼を知りて己を知れば百戦して危うからず」
有名なこの警句だけを考えてみよう。この警句は論理的に成り立つ。しかし、それでは自分のビジネスで「彼」というのは誰か。「彼」は何人いるのか。たぶんたくさんいるのだろう。たくさんいる「彼」のことをどれだけ知れば「危うからず」となるのか。「彼」が来年、あるいは三年後にどのような手を打ってくるか、知ることはできるのか。
それらの違いを心して読むと、「戦争管理論」としての章や部分は、現代の経営に通じるところが無くもない。
2010年11月3日水曜日
日本の秋を走る
11月1日(月)から2泊3日で山中湖「ホテルマウント富士」に滞在。3日間とも秋晴れ。当ホテルは山中湖畔の丘の上に屹立し、富士山に対峙する。3日間とも見事な赤富士を堪能。こんなに雲がかかっていない富士山を見るのも久しぶりだ。
昨日は、富士五湖をドライブ。静岡県側の白糸の滝を見るのは半世紀ぶりとなったのか。弓手、射手に流れる山々の紅葉グラデュエーションがあざやか。滞在中に寒さが増し、3日目には山中湖畔の紅葉の赤さが増していたことに気づく。
美しい日本に生まれたことを感謝した休日である。円高は進んだが、第3四半期の上場会社の利益はとても改善している。私たちは良い国にすんでいる。特に日本人と言う種族、社会はとてもすばらしい。
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