2010年11月17日水曜日

「静かなリーダーシップ」ジョセフ・L・バダラッコ 書評(54)



翔泳社、2002年。経営者ブートキャンプ第1期で課題図書として『最前線のリーダーシップ』(ハイフェッツ&リンスキー、ファーストプレス)を取り上げた。本書はそれに連なる傾向を有していて、興味深い。

その「傾向」とは、「リーダーシップって単純なものではない」ということだ。経営者ブートキャンプに参加してくれているのは実際の経営者であり、私もそうだった。リーダーシップの現場から遠いビジネスパーソンほどきっと単純でヒロイックな意思決定や動作などを夢想しがちなものと思う。本書は、リーダーシップの現場が実は混沌としてリスキーなものであり、それを上手く渡り歩いていかなければゴールの実現が難しいということを示している。

ただし、その状況が実際に混沌として複雑であるので、その実態を示すべき分かりやすいケースの提示が本書では前半くらいで種切れの感が否めない。後半のケースでは「概念のモデル出し」が前半ほどクリアに行われていない。

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