実際にはプレイステーションが属する「ゲーム&ネットワークサービス」セグメントは、17年度予想では売上2兆円近くとされ、この巨大企業の立派な柱となっているのだ。そんな製品が現存しているのに、多くのソニーOBやファンはないものねだり、あるいは過去への郷愁を表出しがちなのである。
前出ダイヤモンドの記事は「コングロマリットを目指すのではなく」と主張しているが、たとえば「金融」セグメントに目を留めてほしい。17年度予想では収入1兆円以上と大きな柱である。それに、営業利益が1700億円と予想されていて、これは対売り上げで15%にもなる。「半導体」以外の製造セグメント各部門では、対売上営業利益率はせいぜい10%だ。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)が15年に金融事業から撤退すると発表し、株式市場はそれを好感し、ソニーもそれを見習うべきとの指摘もある。しかし、20世紀最大の経営者ジャック・ウェルチがレガシーとして残し、GEの金城湯池だった同事業から撤退したのは、ジェフリー・イメルト会長の大きな失政だと私は思っている。ソニーは粛々とタコ足経営(8事業体制)を進めていけばいい。
平井社長の「第2次中期経営計画」は17年度に達成される見通しだ。いずれ「第3次」が発表されることだろう。この「凋落ストッパー」経営者が、果たして「中興の祖」とまで呼ばれるようになるか、多いに興味がある。
蛇足だが平井社長の15年3月期の報酬は5億1300万円と公表されている。通常報酬(退職報酬などではない)としては日本人経営者で最高額だ。第2次、第3次中計を実践、達成していき、「報酬10億円日本人社長」の称号を手にしてもらいたい。
(この項 終わり)
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