値上げがアマゾンに受け入れられない場合を「ケースB」としよう。
「アマゾンの売り上げを失ってもいいという覚悟で望む必要があるが、実際に失うと今後は人手がだぶついて、赤字になってしまう可能性がある」(「週刊東洋経済」<東洋経済新報社/3月4日号>より、ヤマト幹部のコメント)
今がすでに業務的にパンクしているのだから、業務を個数ベースで2割減らすのは理にかなったことだ。前述したように、金額ベースでは1割ほどのことだ。そして、ケースBの有効性は13年に佐川で実証されたことでもある。
労働組合から改善を求められている諸問題は、実は年間取り扱い個数を現状で頭打ちにするということでは解決できない。現状ですでに過大なサービス残業などが発生しているからだ。問題を解決するためには、現状で個数凍結するのではなく、減らさなければ駄目だということを直視すべきだ。
ヤマトがアマゾンとの取引を停止したら、アマゾンをはじめとするインターネット通販、そして「配送無料」などはどうなるだろうか。
そんなものはどうにでもなるし、状況が動けばビジネス機会をものにする企業は必ず出てくる。また、ヤマトの経営陣はそんなことまで考える義務はない。
「小手先のことより抜本的なことを」――。それが経営戦略的なアプローチであり、選択だろう。
(この項 終わり)
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