第3章以降、本書は「創造経営」や「知識創造パラダイム」、「アート・カンパニー」そして「知識デザイン」などの興味を引く用語と概念を押し立てて、新しい経営モデルを力説している。
これらの理論の構成は平仄が取れていて、破綻が見られない。しかし、啓蒙する経営モデルの理論整合性と実現可能性は別のモノでもある。第1章で掲げられた成功事例企業は、紺野氏の経営モデルを具現した結果と言うより、それぞれの傑出したそして例外的な経営者の存在による個別な成功だったと言うべきだろう。
また、紺野氏の出自が建築設計であり、桑沢デザイン研究所という日本でも最高峰のデザイン機関に属されていた。結果、氏の経営モデルはデザインという領域への愛に偏していると言わざるを得ない。一方、経営の現場には出られていないご経歴が示されている。
紺野氏が本書で見せてくれた経営モデルは優秀な氏の頭脳の中で練り上げられたモノである。それはそれで完結しているかも知れないが、世の経営者がフォローして行けるようなモノとは思えない。
(本項漸く終わり)
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