これらの一連のユニークなマーケティングをリードしているのは、どんな経営者なのか。現在55歳の高岡社長は、83年に神戸大学経営学部を卒業してネスレ日本に就職した、生粋のネスレ人だ。外資系企業というと、転職や海外MBAを経てという経歴の社長が多いが、プロパーのままトップに上り詰めた、そして同社で初めての日本人社長だという。
その高岡社長がこれらの一連のマーケティング施策を次から次に思い付いたのか、それなら大変なアイデアマンだと思ったら、「多くのアイデアは当社の『イノベーションアワード』から出てきています」(同社広報室)とのこと。社員からアイデアを募るのは多くの会社で行っていることだが、同社でユニークなのは、小規模にまず実践、実験してみた上で応募できることだという。つまり、フィージビリティー(実現性)がある程度担保された施策やアイデアが上がってくるという。
しかし私は、そんな仕組みを考えた高岡社長がやはりアイデアマンだと思う。自分だけで考えるのだけではなく、社員たちに考えさせる、それを仕組みにして効率化した。優れた経営者だ。
(この項 終わり)
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