大前研一氏が都知事選で大敗したのは、超エリート臭が敬遠されたのだという解説があった。
同氏がダニエル・ピンクの著書を一冊ならずと訳出したのも、当然価値観や興味、世界観にフィットを感じたからである。そうでなければ、大前氏ほどの大家が今更手がける理由が理解できない(私にも翻訳書があるのでそう思う)。
さてさて本書でアジテートされている、「自覚して、報酬を求めないモチベーションにより自ら無限に働く意欲を持つ」社員を持つ、育てるのは経営者の夢だろう。
そんな夢を持ってはいけない、と私は強く警告したい。そんな社員がいないわけではない、そして出現しないわけではない。しかし、絶対少数だ。モチベーション3.0を持って励みたい、と志して本書を手にする社員は、そのような人であるかも知れない。だから、本書の読者は既にしてモチベーション3.0の隠れ保持者だ。そんな人たちが、この本を読んでそのモチベーションの機序を理解して、上を目指してさらに進んでいける。しかし他の全ての社員に適用できる、適用しようなどと経営者なら思わないことだ。
(この項 終わり)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿