そんな弥生を買収するオリックスは、融資、保険、リースなどの商品を保有しており、取引相手が法人の場合、福利厚生から年金設計、運用まで引き受けることができる。また、それらの金融商品を売り込む組織も人員も豊富に抱えている。
●4P戦略的に高い効果を期待
マーケティングで重要だといわれる「4P戦略」とは、プロダクト、プレイス、プロモーション、プライスの4つだが、オリックスはもともとプロダクトを保有していたところへ、弥生の買収によりプレイス、つまり流通経路(販売先)が一気に広まったことになる。
加えて、プロモーションという点でも、プロ野球球団のオリックス・バファローズを保有しており、弥生の会員企業へのサービス、もしくは新規顧客企業獲得のためのツールとして、バファローズの試合の入場券を利用できるかもしれない。もちろん球団としては入場者増となる。
残りのプライスの点では、弥生を通して日本の中小企業の半分をカバーできるため、さまざまな面でスケールメリットを生かした価格政策を実施できる。
以上のオリックスのビジネス展開は、弥生の会員顧客チャネルを通じて行われるため、弥生にとっても新たなビジネスチャンスとなる。つまり、今回の買収は両社にとってまさに「Win-Win」のディールとなり、戦略的には極めて妙手である。
(この項 終わり)
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