2014年11月7日金曜日

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』ダニエル・ピンク 書評215(3)

大前研一氏が都知事選で大敗したのは、超エリート臭が敬遠されたのだという解説があった。

同氏がダニエル・ピンクの著書を一冊ならずと訳出したのも、当然価値観や興味、世界観にフィットを感じたからである。そうでなければ、大前氏ほどの大家が今更手がける理由が理解できない(私にも翻訳書があるのでそう思う)。

さてさて本書でアジテートされている、「自覚して、報酬を求めないモチベーションにより自ら無限に働く意欲を持つ」社員を持つ、育てるのは経営者の夢だろう。

そんな夢を持ってはいけない、と私は強く警告したい。そんな社員がいないわけではない、そして出現しないわけではない。しかし、絶対少数だ。モチベーション3.0を持って励みたい、と志して本書を手にする社員は、そのような人であるかも知れない。だから、本書の読者は既にしてモチベーション3.0の隠れ保持者だ。そんな人たちが、この本を読んでそのモチベーションの機序を理解して、上を目指してさらに進んでいける。しかし他の全ての社員に適用できる、適用しようなどと経営者なら思わないことだ。

(この項 終わり)

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