2013年10月6日日曜日

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセン他 書評182(5)

クリステンセン教授
しかし、『ビジョナリー・カンパニー』が辿り着いた「決して満足しない」などの定性的テキストが、対象マネジャー達全てのコメントからどのように抽出されたかのプロセスが十分に示されていない。

研究を実施したコリンズ達の「ハートに刺さった」コメント群が残されたのではないかという議論を打ち消すことが出来ないのだ。それは、つまり解釈的、恣意的ではなかったかという、学問的アプローチとしては決定的な疑問を残してしまっているのである。

そこへいくと、クリステンセン『イノベーションのDNA』のアプローチは優れていて、納得感に溢れている。まず同書の中で、研究が行われた方法が示されている。これは学術書としてフェアであり、しかもその研究された現資料がインターネット経由で公開されている。これは「プロセスの再現性と検証可能性」という観点から、社会科学ではとても重要なアリバイ作りだと言える。

クリステンセン達が同書で公開した研究方法とは、、、

(この項 続く)