プレゼンの冒頭で井阪氏は前会長、つまり鈴木氏のことを改めて賞賛した。井阪氏が鈴木氏に抜擢されて09年にセブン&アイHD傘下のセブン-イレブン・ジャパン社長に就任して以来、鈴木氏の薫陶を受けてきた経営者なので、鈴木氏に比べれば小粒感が出るのは仕方がない。また井阪氏は自ら持株会社であるセブン&アイHD社長の座を狙っていたわけではない。
今年3月に起こった同グループのトップ人事抗争は、当時会長だった鈴木氏が井阪氏を更迭しようとしたことに端を発した。好業績をたたき出し続けていたセブン-イレブン社長の井阪氏は、「辞めさせられるいわれはない」として、初めて師でもある鈴木氏に反旗を翻して、創業者である伊藤雅俊名誉会長のもとに駆け込んだのだ。
目指した人事が否定された鈴木氏は自ら身を引いたわけだが、その結果、セブン&アイHDトップの座が空席となってしまった。井阪氏自身はこれまでの経緯からも単にセブン-イレブンの経営者でいたかったようにうかがえるが、消去法的に持株会社であるセブン&アイHDの社長に就任した。いわば「その席を望まなかった経営者」の誕生である。
(この項 続く)
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