今回の発表でも、百貨店事業ではエイチ・ツー・オー リテイリングに3店舗が譲渡されたことが発表されたが、それ以外の店舗はどうするのか。鈴木氏が過度に傾斜していたオムニチャネル事業を単なるマーケティング・ツールへとリ・ポジショニング(転換)し、鈴木氏が「世襲への布石ではないか」と腹を探られていた主因であった次男・鈴木康弘取締役を同事業の責任から外したのも正しいことだ。
今回の発表は概ねの方向性としては正しいほうに向かっているが、当面取り組む改革としては物足りないし、18年2月月期に始まる中期3カ年計画(これも鈴木時代にはなかったものだ)で目指すことも、同グループの規模感からみれば物足りない。
前述のとおり、「能吏でおとなしい」というのが井阪社長に対する私の印象だった。経営技法も経営計画も、結局はお人柄の範疇に収まるということだろう。鈴木氏による更迭を拒みきった“芯の強さ”を、計画展開のフェーズではぜひ発揮してほしい。
(この項 終わり)
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