さて、オーパス・ワンの話に戻ろう。バスが着くと、若い日本人の女性が出迎えてくれた。特別試飲室に導かれ、試飲グラスで提供されたのが、2012年ヴィンテージだ。
「今月(10月)に販売開始したばかりです」という。カリフォルニアではブドウを完熟した状態で収穫するので、この短い期間にワインとしての熟成が進むという。ヨーロッパでは収穫が早いのでそうはいかないそうだ。
サンフランシスコは、12年と13年に干ばつに悩まされた。しかし、雨不足はワイン用のブドウには絶好となる。12年のヴィンテージは果たして、近年最高の出来となったそうだ。
テイスティングで陶然としている私に、「お求めになられた場合、日本に発送も致します」と勧めてくる。今や世界最高となったナパ・ワイン、そこで最高といわれるワイナリーで近年最上のヴィンテージ。横では1ダースものボトルを大人買いで申し込んでいる社長もいる。値段は……。
「ああ、買おうか買うまいか。この快楽をどうしよう。サンフランシスコを二度と訪れることはないだろうし」と、プライス・リストの前でグラスを手に私は悩み、立ちすくんだ。
(この項 終わり)
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