ブドウの大敵はフィロクセラというアブラムシで、実はヨーロッパのワインはこの虫のために19世紀末に壊滅的な打撃を受けている。実際、一度は壊滅したといっていいのだが、ブドウ種のほとんどがナパで栽培されていたので、その後はアメリカのブドウの木の上にヨーロッパ各地のブドウの木を接ぎ木するという方法で復活を果たし、さらにアブラムシ対策にもなったという。この対策法を発見したのもUCデービスだった。世界のワインを救った学校といえる。
私が訪れたブドウ畑でも、ブドウの木の間に細い水道管が渡っているのを見た。
「以前はスプリンクラーから水を噴霧していたのですが、今ではこのパイプからそれぞれのブドウの木に必要な水をちょろちょろという感じで給水しています。水の使用量が3分の1減り、さらにこのパイプには必要に応じて肥料や病気防止の薬なども供給されています。そして、それらがすべてコンピュータ管理されています」
このような説明を聞いて一驚した。ヨーロッパのワイナリーがかなわなくなったはずだ。今では、世界でワイン品評会があると上位10社のうち半分以上をカリフォルニア・ワインが占めるようになっている。
(この項 続く)
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