テレビ事業からの退却については、ソニーだけの話しではない。東芝はすでに海外テレビ事業からの撤退を決めている。北米ではブランド供与とし、欧州やアジアではライセンス供与の協議を続けている(1月29日発表)。パナソニックは中国の液晶テレビ生産から撤退する(2月2日発表)。また、シャープについては、2月11日付本連載記事http://biz-journal.jp/2015/02/post_8895.htmlで『赤字転落のシャープ、17年までに消滅の危機』」と予想した。
各テレビメーカーは海外事業を手じまいして、国内で4Kなどの高級路線、あるいは国内市場に傾注して生き残ろうとしているが、それも難しい。筆者は「インダストリアル・ライフサイクル」、つまり「特定の市場における特定の産業にはライフサイクルがある」と提唱している。よく知られているPLC(プロダクト・ライフ・サイクル)では、導入期、成長期、成熟期、衰退期があるとされているが、このサイクルが特定の産業全体に適用できる。
日本のテレビ産業は、まさに衰退期に突入している。PLCでは、衰退期に突入した商品にしがみついて残った企業に利益がもたらされることがある。いわゆる「残存者利益」だ。しかし、テレビ産業のようなグローバル産業の場合、それも期待できない。韓国サムスンやLGなどの海外勢が侵入してきて、日本のプレイヤーの残存陣地もくまなく浸食してしまうからだ。
今後日本のテレビ事業は、液晶パネルなどのデバイス事業へと階段を下りていく。あるいはソニーにこれから起こりうるように、テレビ事業そのものを他社に売却して滅消させていくことになるだろう。大きな時代の流れ、インダストリアル・ライフサイクルには抗うことはできない。
(この項 終わり)
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