●トヨタに求められる次の一手
そして何より、欧州勢をどう取り込めるか。およそ世界の規格づくりの主導権を握っているのは欧州勢である。クラス意識が強く、アジア人に対して優越感を持っている欧州の産業界が、極東日本のトヨタに次世代自動車の主導権を渡すには大きな抵抗を感じるだろう。かといって、日本の自動車メーカーだけで結束しても、また新たなガラパゴス産業を形成してしまうだけになる。
思い起こされるのが、1970年代に起こった「ビデオ戦争」である。ソニーが開発したベータと、日本ビクターが開発したVHSが、家電メーカーを2分しての規格戦争を繰り広げた。技術的には必ずしも優位ではなかったVHSが勝利したのには「ミスターVHS」といわれた日本ビクターの高野鎮雄事業部長(当時)の存在があった。高野氏が松下幸之助を説得して松下電器産業(現パナソニック)を自陣に組み入れることに成功した。
今のトヨタに欧州の自動車メーカーを説得しきれるような「ミスターFCV」はいるのだろうか。特許を公開しただけでは、世界中の自動車関連企業が賛同してくれるはずはない。
(この項 続く)
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