その日付は翌々日のことだった。「わかった、わかった、すぐ帰るよ」と私は言い、不安がる妻なので、そうすることにした。
帰宅して、迎えに飛び出してきた妻に言った。
「そのハガキはどうせ嘘だから、無視して何もしなければいいんだ」
すると妻は、
「そんなことはないわ、電話したらちゃんと出たし、弁護士さんも紹介してくれたわ」
「えっ、電話したの?」
「これがハガキよ」
見せられたハガキの文面は、本文冒頭の「これが詐欺のハガキです!」の写真とほとんど同じものだった。文面だけでなく、レイアウトも同じだった。
「これは、テレビなんかでときどきやっている詐欺ハガキだよ」と私が諭すと、妻は「でも電話したらちゃんと出たわ」と繰り返す。「ええ、さっきした電話のメモがこれよ」とメモを見せられた。妻が電話したら、担当者と称する男から
「あなたが消費した金額について未納・滞納の民事裁判が起こされています。その内容についての情報開示と取り下げについては、弁護士を通してもらわなければなりません」
との説明があったという。知り合いの弁護士がいないというと、「それでは国選弁護士を紹介します。無料相談できます」として、S先生なる実名をあげられ、その先生の電話番号(東京都内の固定電話番号)を知らされたという。
(この項 続く)
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