人間というものは、それまで自分が正しいと思って一生懸命やっていたことを否定されるとおもしろくないものだ。まして、その結果として好成績が出ているとすれば、それに異を唱える人物に対しては不信感を抱く。そして、それは理由のない嫌悪へとつながることがある。
松本氏の「M&A路線凍結」提言を受けた瀬戸社長自身も、路線変更に当初は大いにためらいがあったとされている。しかし、結局新参COOの提言を受けて、18年秋に路線変更を発表した。その結果のひとつとして、財務担当とM&A担当役員が年末に解任されている。突っ走っていた組織に鉈をふるってしまった再生経営者が、既存の組織成員からは反感を持たれることは覚悟の上のことでもあったろう。
「週に1回しか出社しないのに年俸1億円だって?」
吐き出すように話したRIZAP社内の人の言葉が、私の記憶に残っている。念のために書き添えると、松本氏のRIZAPでの報酬は開示されていないので、この金額が事実かどうかは確認できない。
居心地の悪い会社、それが新任COO松本氏にとってのRIZAPだったと私は見ている。
(この項 続く)
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