そんなことはないだろう。告げられない、のだ。PPM分析の場合、社員や事業リーダーへの告知は難しい。「ドッグ:負け犬」となれば「もう撤退するよ」という告知となる。アメリカなら転職準備を始めなさい、というシグナルと受け取られるだろう。「キャッシュ・カウ:金のなる木」ということでも複雑だ。「君の事業はもう成長しなくていい。投資もしない。そのままプロダクト・ライフ・サイクルの衰退期に入っていって、静かに利益貢献をしてほしい」などと明示されて、意欲を高めることができる幹部がどれだけいるだろうか。
川崎重工の現在の好調は、「航空宇宙部門」という「花形」事業のおかげだ。これが続いているうちに「船舶海洋部門」をカーブアウト(切り離し)して社外に出してしまうことだ。そして、そこで得られるキャッシュを他5部門に効果的に投資する。こんなやりくりで同社は「次の1兆円」を目指すことができる。
村山社長が航空宇宙部門出身だけに、同部門の好調に酔って事業ポートフォリオ戦略を出動しない「無策の時間」があったりすると、14~15年の成長はほどなく止まってしまうだろう。
(この項 終わり)
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