コニカミノルタでのCEOとしての実績は平板
過日の講演で初めて拝見した松崎氏の印象は、私が想像していたような経営者像とは違った。修羅場を買って出るような、パワフルでエネルギッシュ、脂ぎったような生臭さを感じさせないご容貌であり、お話しぶりだった。
松崎氏が取締役会議長を務めているコニカミノルタは、2003年にコニカとミノルタが合併して誕生した。同氏はコニカの前身、小西六工業に新卒入社した、プロパー従業員経営者だった。東京工業大学院で電子化学を専攻していた理系の経営者らしく、ロジカルな話の展開、ビジネス事象への分析的なアプローチ、そして明晰な説明が、その端正な風貌と相まって、精力的な剛腕経営者というより大学の教授が登壇しているような印象を与えていたのである。
松崎氏の経営者としての通信簿を振り返ってみたい。松崎氏は14年にコニカミノルタの取締役会議長になるまで、09年から同社のCEO社長を務めていた。09年3月期、つまり「松崎CEO直前」の同社の年商は9,478億円、経常利益は454億円だった。一方、「松崎CEO直後」である15年3月期の年商は1兆28億円、経常利益は599億円だった。在任6年間で年商は5.8%、経常利益は31.9%の伸びである、というかそれしかない。いわゆる「中興の祖」的な業績飛躍はなかった。
(この項 続く)
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