「立ち位置を変える」というのはマーケティングで「ポジショニング」としてよく使われる概念である。前述の「ジャンルトップ戦略」がなんということはない、ランチェスター戦略だったことと合わせて、この会社の経営陣は戦略用語あるいは知識を知らないのか、あるいはあえて気取った言い方を選んでいるのか。
コニカミノルタについて私が知らなかったことのひとつが、同社の突出したグローバル化である。いまではその年商の約80%、社員の約70%が日本以外だそうである。同社の株式保有も約40%が海外投資家によるものだとか。そんなダイバーシティが進んでいる大組織を率い、ビジネス・システム全体の最適化と経営リソースの最適活用を目指す、と松崎氏は明言していた。
全体的な印象として、松崎氏は理系の経営者らしく、状況の論理的分析に長け、かつそれを優先度などにより整理して分かりやすく展開できる。教授のようだとした私の第一印象はきっと当たっているのではないか。コニカミノルタのような事業と技術のポートフォリオ、そしてダイバーシティが特徴となった企業では、松崎氏のような経営トップが機能するのかもしれない。
それにしても、1兆円企業で5年間CEOを務め上げた経営者が、なぜ今さらLIXILのCEO候補として担ぎ出されたのか。それはやはりCEO、経営トップの席に座るというのは「蜜の味」なのだ。
松崎氏がLIXILの新しい取締役会議長として、瀬戸CEOを強力に補佐して同社の発展に貢献していただくことを望む。
(この項 終わり)
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