財務上の手詰まりを再び大きく改善する戦略的な環境も整っていない。カルビーはポテトチップスで国内シェアを71%も取っている(富士経済「2017年食品マーケティング便覧」より)。こんな巨大なシェアを実現したということで松本経営を囃す向きも多いのだが、そんな例外的ともいえる高いシェアは、「あとは落ちるだけ」ということだ。松本会長も内心は忸怩たる思いがあったのではないか。
カルビーの「巨大性ゆえのリスク」は製造面でも顕著だ。16年に北海道のポテト生産が天候不順のために大減産となった。各社ともそれを繰り返さないために、契約農家の確保に躍起となっているが、カルビーの場合、自らが希求するような供給量の増加を担保しきれていない。ここでも成長限界がきている。
ポテトチップスに次ぐ柱として「フルグラ」が伸びてきているものの、その年間売上額はまだ300億円台と、カルビー全体の10%程度でしかない。私は、前出連載記事でカルビーが状況を打開できるのは海外関連だろう、と提言した。販売とポテト確保の両方の面である。
しかし、海外において不安定材料は、カルビーの2割の株式を有するペプシコの動向だ。09年に結んだ契約の特別条項が19年7月に終了し、ペプシコは出資比率を変えられるようになる。ペプシコは、お膝元の北米でカルビーがシェアを拡大させていく状況にどう関与していくのか。
(この項 続く)
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