「あの工区、技術的に難しいな」と、A社とB社の両方の幹部が述べたとする。A社のほうは本音で言ったとしたら、その工区の受注意欲の低さを吐露している。B社はただ相槌を打ち、「A社の応札の可能性は低いので、ウチは少し高く札を入れてもいいだろう」と、有能なビジネスパーソンならそう思わなければいけない。これはそのまま、不公正競争の端緒となっている。
4社でリニア工事を担当し、今回の談合疑惑に関与したとされるのは、いずれも「理系技術者」で技術的興味が強いとされる幹部たちだ。リニア関連工事に関する技術情報を共有しようとする意欲が強かったと推測される。逮捕された大成建設の大川容疑者と、談合を認めた大林組の元副社長は早稲田大学理工学部の同級生で、同窓会やゴルフコンペなどで定期的に会っていたとされる(3月3日付読売新聞記事より)。
「会社は談合防止のルールをつくっている。不正が事実だとすれば、個人の問題だと思う」(同記事より/鹿島社員のコメント)
このコメントはこの業界の不公正取引への意識の低さを物語っている。元同級生の2人が特定の工事について情報を交換、共有することは、個人間の親睦ではなく企業としての不正行為なのだ。大手ゼネコン4社は、たび重なっていた談合事件を反省して2005年12月に「談合決別宣言」を出した。ところが4社はリニア工事が始まる前後から、将来受注を目指す工区ごとに工法や地質の研究を行う「勉強会」を開いてきたという。
「談合しなくても、どのゼネコンがどの工区の受注を目指しているのか周知の事実だった」(同記事より/ゼネコン関係者)
つまり、「勉強会」という名の談合だったことになる。
(この項 続く)
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