2014年10月11日土曜日

『リーダーになる』(ウォレン・ベニス ) 書評212(3)


著者は教授なので学者な訳だ。だから本書は学術書、少なくともその手法を踏んでいることが期待される。

本書によれば、著者は「アメリカを代表する優秀な男女」である28名(具体名と略歴が掲げられている)をインタビューして、「リーダーに必要な要素」などを抽出した、としている。そして、例えば「リーダー基本要素5つ」なるものを掲げている。

しかし、「インタビュー」での共通設問や、その設計などは示されていない。それがなければ、著者はそれぞれの著名人とただお茶を飲んで来ただけではないのか。

そして、28名から例えば「リーダーにとって重要な要素」というのは100でも200でも出て来たに違いない。対象ときちんとインタビューできたとしたら、必ずそうなる。とすると、それら100-200有った項目から、著者はどうやって「5つの重要」を抽出したのか。4つでも、6つでも、あるいは捨てた項目から私なら別の項目を拾ったのではないか。また別の人なら別の項目を、、、

著者の方法論をこのように分析してみると、結局インタビューなど無いままに勝手なエッセーを書いても同様な主張となり得る。著者の価値観を排除した学問としてのしっかりした研究方法論が無ければ、研究者の主観でデータをどうにでも操作できるのだ。

経営学が社会学だということで、このようなアプローチが横行している。

同じ著者のさらに旧著『本物のリーダーとは何か』ウォレン・ベニス 書評96 について拙ブログで以前に書評を書いている。
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2011/10/blog-post_23.html

(この項 終わり)

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