2011年7月17日日曜日
「反社会学講座」パオロ・マッツアリーノ書評88
(株)イースト・プレス、2004年刊。
何が言いたいんだか。本書はいろいろ突っ込みどころがある。
まず、著者。イタリア生まれの30代で日本で教鞭を執る、とあるがそんな本名の学者は存在しない。グループによる「XX委員会 編・著」の亜流と思われるが、そのわりに6-7冊も著書がある。
タイトル。「反・社会」的な強いアジテーションの本かと思ったら、「反・社会学」つまり従来の社会学の主張などをあげつらうだけという弱い内容でがっかり。今までの社会学の主張の陥穽を突くということを目指すのなら、「常識の嘘」的なことの指摘が期待される。「エー、そうだったの」という驚きをもたらして欲しい。
冒頭第2章で「実は少年の凶悪犯罪は昔に比べれば減っている」という資料が示されているが、そのレベル(これも強い驚きとまでは行かないのだが)の指摘の提出が続かない。取り上げている内容も雑多に渡ってしまい、いよいよ複数の社会学者(それも単著も出せず、本名で共著を出すレベルではない)による執筆によるテーマの分散かと疑われる。
読み終わって、「はて、この著者が言いたかったことは何なのだろう」と首をかしげた。
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