孫氏ほどの派手な学歴はありませんが、柳井氏は経営者としては恐ろしいくらいの勉強家で、その帰結として論理的な経営判断を下す性向が強く見られます。
『プロフェッショナルマネジャー』(ハロルド・ジェニーン著/プレジデント社)という本の解説を柳井氏が書いています。著者のジェニーン氏はITT社という米国の大手通信社を経営して連続20年以上増益させたという名経営者で、柳井氏が心酔した人です。
本書が出たのは04年、つまり10年前ですが、その時にはすでに柳井氏は自分の経営スタイルをしっかりと自覚し把握しています。例えば、柳井氏は「数字把握力」ということの重要性を書いています。数値経営に立脚すると、その経営者はロジカルな経営アプローチを目指すことになります。
そんな柳井氏のことを孫氏は次のように評しています。
「柳井さんは客観的に冷静にものを分析して、しかも弱点や欠点を着実に埋めていくという、理系の目をもっています。それを冷静に一つ一つ積み上げていく。分析能力と決断力と何が何でも利益を積み上げていくという執念がすごい」(「企業家倶楽部」<07年4月号>より)
(この項 続く)