2018年11月30日金曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(10)

ゼブラ社から来た2回目の回答書の1部に次の記載があった。

「<原因調査結果>
(略) 前回のご案内と重複し、誠に恐縮ではございますが、ペン先部のボールをかかえている金属(カシメ部)は傷が付き、変形しておりました。このために、、(略)」(30年111月6日、お客様相談室)

はて?同状の別の部分。
「<お申出内容>
(略) 使い方にも配慮しているが、その後も同じ不具合が生じている。」

第1回目のクレームのときに貰った回答書では、筆圧が強いためにカシメが壊れただろうという見解だった。

それで気をつけて使ってきたのに、ゼブラ社の分析のようにまたそこが破断したという。丁寧にペン先の拡大画像も添付されていたが、それはまさに不良商品の自己証明ではないか。

原因がわかり、そこに気をつけて使用してきたのに不具合が繰り返されるということは、それが市販に供するに耐えない商品ということなのではないか。

回答書ではさらに別の記載があった。

(この項 続く)

2018年11月29日木曜日

ライザップ、赤字転落で成長神話の終焉か…「実態は零細企業の寄せ集め」と失望広まる(5)

たとえば、今回の下方修正の足を引っ張った子会社群として、「ワンダーコーポレーション、ジャパンゲートウェイ、サンケイリビング新聞社、 ぱど、タツミプランニングのメガソーラー事業等、経営再建途上のグループ会社・事業に加え、今期の一時的要因の影響が出ているMRKホールディングス」などがあげられた。

 これらの子会社群の多くが、RIZAPが共通ビジョンとして掲げている「自己投資産業グローバルNo.1へ」と関連して集められたものとは見えないのだ。例えばワンダーコーポレーションはCDの販売会社だし、ぱどはフリーペーパーを発行している。またMRKホールディングスは女性向け下着の会社だ。

 そして、結果として雑多な会社を買ってしまったのはいいが、それらの経営を指導していく本体側の経営人材はどれだけ用意があったのか。RIZAPは瀬戸社長の強いリーダーシップの下に急激に伸びてきた会社だ。そんな会社に、果たして異業種である多くの子会社を経営指南していける役員人材の手駒は足りていたのか。

(この項 続く)

2018年11月28日水曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(9)

ZEBRA社の社長に問いたい。石川真一社長に問いたい。

「あなたは自分の会社が、17本使ってもらって10本以上の不良発生をしているような商品を製造販売してどう思っているのですか?」

私はこの製品のヘビーユーザーでもあり、愛用者だ。ファンであると言ってよい。そんなコアな消費者をこんなにがっかりさせてどうするのか。

ちなみに、第2回の返送に対してZEBRA社から代替品の配送とともに不良品の解析が送られてきた。それに付けられた貴社の担当者のコメントにはこんなことが書いてあった、、

(この項 続く)

2018年11月27日火曜日

ライザップ、赤字転落で成長神話の終焉か…「実態は零細企業の寄せ集め」と失望広まる(4)

M&Aにより業績を急激に拡大するのは、有効であり危険である。問題はRIZAPの内部にPMIに長けた経営資産があったか、機能したかである。

PMIとはポスト・マージャー・インテグレーションのことで、買収した後にその子会社を本体に一体化させる作業のことをいうが、別に一体化しなくともそれぞれの会社の業績を伸ばせればいい。要は安くM&Aをして、それを迅速に事業再生する経営力があったか、ということだ。

 M&A巧者として知られているのは、日本電産の永守重信会長兼社長だ。永守氏のM&Aを見ていると、まずコア事業であるモーターの関連事業の会社を買い集め、それらの技術を束ね上げるという一貫した方針がある。

そして、M&Aの対象候補となった企業のEBITA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)の10倍までしか金を出さないという財務指標がある。

さらに、買収したら側近を送り込んで数年の間に日本電産流を徹底的に植えつけるという確立したPMI技法がある。つまり、「M&A勝利の方程式」があるのだ。

 永守式M&Aに比べて今回の瀬戸社長の発表を見てみると、まるで反省発表会のように聞こえる。

(この項 続く)

2018年11月26日月曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(8)

それはさておき、本製品(替え芯)の、私のところでの不良発生率を確認しておく。

前述したように、私はこの1年余に3色合わせてY通販から19本購入し、2本が未使用である。つまり、17本を使ったことになる。

一方、ZEBRA社に不良返送したのは、1回目が3本、2回目が2本(誤って送ったP社のものはもちろん含まない)、そして3回目として返送依頼を受けたものが3本ある。

つまり、不良総数は3+2+3=8本だ。加えて、第1回目の前に数本の不良発生があったので、返送クレームにいたったのだ。その第0回の分は捨ててしまった。それを入れれば10本超が不良となった。

ZEBRA社の社長に問いたい、、、

(この項 続く)

2018年11月25日日曜日

ライザップ、赤字転落で成長神話の終焉か…「実態は零細企業の寄せ集め」と失望広まる(3)

「結果にコミットする」RIZAPの大当たりで、M&A拡大路線へ


 RIZAPの創業者は、現社長である瀬戸氏だ。瀬戸氏は24歳で健康食品の通信販売会社の創業(健康コーポレーション)から事業を始め、2010年、32歳のときにRIZAPボディメイクのビジネスをスタートさせた(グローバルメディカル研究所、現RIZAP)。

「結果にコミットする」という印象的なキャッチフレーズで成功を収めてきたボディメイクビジネスをコアとして、瀬戸社長は積極的にM&Aに乗り出し、コングロマリット(複合企業)化の道を驀進してきた。RIZAPの子会社の数は、16年3月期には23社だったが、18年9月末には85社になっている。2年半の間に62社をほぼM&Aで入手してきた。

今期の売上予想はグループで2300億円と下方修正されたので、1社当たりの年間売上は単純平均で27億円ということだ。業績の下方修正で冷や水を浴びせられた投資家が、冷静になってしまうと「なんだ、零細企業の寄せ集めか」というふうにも、とらえられかねない業容である。

(この項 続く)

2018年11月24日土曜日

ライザップ、赤字転落で成長神話の終焉か…「実態は零細企業の寄せ集め」と失望広まる(2)

下方修正の発表を受けた翌日15日(木)は売り気配一色となり、345円のストップ安で終わった。売りに出された株の多くが約定とならず、続く16日(金)も2日続きのストップ安である265円で引けている。

年初来高値が1099円(1月30日)だったので、11月26日の週明けにはその高値から80%も下げる場面も予想されている。

 マーケットからこれだけの失望を買った要因は、直接的にはもちろん19年3月期業績予想の下方修正だ。具体的には、連結最終損益予想を従来の159億円の黒字から70億円の赤字に下方修正した。年間売上高予想も2500億円から2300億円へと下方修正した。

 しかし、業績の下方修正をするのは、別に珍しいことではない。RIZAPの今回の発表に対して投資家がこれだけ反応したのは、同社の成長神話の終焉、少なくとも大きな踊り場が来たことを感じたからだろう。ちなみに最終損益が赤字になれば08年3月期以来、11年ぶりとなる。

(この項 続く)

2018年11月23日金曜日

ライザップ、赤字転落で成長神話の終焉か…「実態は零細企業の寄せ集め」と失望広まる(1)

ライザップ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
RIZAPグループ(以下、RIZAP)が業績予想を下方修正したのを受け、株価が大きく下げている。

快進撃を続けてきたRIZAPが、大きな曲がり角に来たのだろうか。今年招聘されたプロ経営者の松本晃氏は、瀬戸健社長とどのように同社を経営していくのだろう。

 M&Aにより構築してきたRIZAPの「グループ経営」に問題が提起された。瀬戸社長の経営者としての踏ん張りどころが来た。RIZAPは再び成長軌道に戻れるのだろうか。


業績下方修正だけでない、成長神話の終焉への懸念


11月14日(水)の業績下方修正の発表を受けて、RIZAPの株価は大きく下げた。上場している札幌証券取引所の新興企業向け市場で13日(火)に497円(終値、以下同)を付けていた株価は、14日には早くも425円となり下げ始めていた。

 (この項 続く)

2018年11月22日木曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(7)

ZEBRA社のT氏に
「実は、前回2回目に発送してから、私の手元にはまた2本不良が発生してしまって保存している」
と、告げた。

するとT氏は、
「それでは、それもお手数だが送ってほしい」
と言うではないか。

私は結構気を損ねて
「同じ問題で消費者に3回も迷惑をかけて、『また送れ』は無いだろう。こういう場合は貴社の方から菓子折りでも持って謝罪方々取りに来るような状況ではないのか」
と、抗議した。

T氏は
「申し訳ないが、それはできないので是非送り返してほしい」
の一点張りで終わった。

それはさておき、、

(この項 続く)

2018年11月21日水曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(6)

すると、電話に対応してくれたZEBRA社の消費者相談センターのT氏は、「本日対応書と代替品をお送りしました」と言うではないか。実際、翌日受領した。

しかし、T氏に
「私のところでは使い方に留意をするようになったにも拘らず、問題が再発している。この商品は何か製造上の欠陥があるのではないか」
と、見解を述べた。

「あるいは、購入先をYネット通販に切り替えてから問題が起きているように感じているので、Yネット通販向けの製造に関わるロット不良が起きたのではないか」
とも指摘した。

そして、
「実はまだ手元には」
と、、、

(この項 続く)

2018年11月20日火曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(7)

10年ごろからM&A手法を繰り出し始めた潮田氏は、サンウェーブ工業、新日軽をたて続けに買収し、11年4月1日に傘下の事業会社のトステム、INAX、サンウェーブ工業、新日軽、東洋エクステリアの5社を統合した事業会社LIXILグループを発足させた。

 このようにいくつもの会社をグループ形成の持ち駒のようにしてきた潮田氏にとって、自らが招聘したプロ経営者もやはり経営上の持ち駒のように考えているのではないか。

 さて、潮田氏が会長兼CEOとして復帰したので、同社の取締役たちは戦々恐々としているのではないか。実際、10月31日の記者会見では、潮田氏と退任する瀬戸氏と並んで、社長兼COOに就任した山梨氏が出席していたのだが、同氏が自らコメントを述べることは少なかった。隣にいる潮田氏に遠慮したものと受け止められる。

 実質オーナーが直接経営に乗り出すとなると、これ以上の求心力は望めないだろう。しかし、藤森氏を実質解任した15年末には、潮田氏はシンガポールに居住していると報道されていたのだが、今回CEOに着任した後はどうするのだろうか。フルタイムで経営に当たるのだろうか。

 いずれにせよ、LIXILグループは新しく潮田体制で動き出す。潮田氏は「再びM&A手法も繰り出したい」と発表会見で語っている。同社のダイナミックな成長に期待したい。

(この項 終わり)

2018年11月19日月曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(5)

前回に記したように、この1年間で当該ZEBRAボールペンの換え芯を19本購入してきた。

一方、私が「不良認定」(インクのボタ落ち、線のかすれ、あるいは書けない)したものはどれだけあったか。

まず、今年の夏前にZEBRAの消費者相談センターに「この頃使えないものが出てきて困っている」と電話をかけた。

一応の謝罪を受け、返送用の封書が送られてきたので3本送り返した。

10月に入り、今度はメールで同様の状態が続いている、とした。前回のやり方で私の使い方に問題がある(筆圧が強い)可能性の指摘を受けたので、「それには注意してきたのに再発した」と書き込んだ。

再び「不良を送ってほしい」とのことだったので、3本送った。その後、そのうちの1本はP社製のものだったといって返送された。机の中に紛れていたらしい。

11月に入り、「不良品を送ったのに受領の確認葉書さえもらっていない、どうしたか」と抗議の電話をかけた。

そうすると、、

(この項 続く)

2018年11月18日日曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(6)

潮田氏もこの程度の保有株式数でLIXILグループでキング・メーカーとして君臨できているのは、他にも理由がある。同氏は、同社で取締役会議長と指名委員会の委員長職を握っていたのだ。

藤森氏も瀬戸氏も、潮田氏が実質招聘したのだが、創業家である潮田氏が委員長として指名委員会で提案したのだから、他の誰も異議を唱えることなど難しかっただろう。潮田氏は今回自らがCEOに復帰したので、指名委員会を退任した。

 今回瀬戸氏を実質解任する前には、おそらく潮田氏は他の外部のプロ経営者を招聘しようと働きかけたのではないか。しかし、2人も招聘して解任という経緯を目のあたりにしたら、誰も受ける経営者などいなかっただろう。それで仕方なく自らがCEOに復帰することになったのではないかと、私は推測している。

潮田新CEOはLIXILをどこへ導く


 プロ経営者側から見れば、横暴ともいえるガバナンスを発揮した潮田新CEOだが、経営者としての実績は実は十分にある。

 潮田氏は前回、06年から11年までCEOとしてLIXILグループの経営に当たってきた。前述のとおり同社の源流はトーヨーサッシで、潮田氏が着任したときは社名がトステムであり、もうひとつ住生活グループという会社も率いていた。


(この項 続く)

2018年11月17日土曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(5)

創業家の潮田氏がCEOに復帰した理由


 創業家が直接経営に乗り出さずに外部からプロ経営者を招聘して、その後に更迭した例として記憶に新しいのが、ベネッセホールディングスだ。日本マクドナルドですばらしい実績を残した原田泳幸氏を招聘した。しかし、2年後には実質解任された。

 ベネッセの創業家は福武家だが、同家が直接あるいは信託銀行を経由して実質保有している株式は、同社の23.14%に上る(18年3月期同社有価証券報告書から筆者調べ)。大経営者といわれた鈴木敏文氏をセブン&アイ・ホールディングス会長職から解き、詰め腹を切らせた伊藤家の実質保有株は、同社の10%を超え、実質的に筆頭株主である。

 出光家、福武家、伊藤家と比べ、LIXILグループでの潮田家の保有株式比率は小さい。しかし会社を上場しても、創業者あるいは創業家が強い意思決定権を保持しているケースは、実は枚挙に暇がない。たとえその保有株式数が少数だったとしてもだ。

 たとえば、トヨタ自動車の豊田章男社長は創業者の豊田喜一郎氏を祖父に持つ御曹司とはいえ、豊田社長の持ち株比率は0.1%で、豊田家全体でも1%程度である。創業家といってもオーナーではない。それにもかかわらず豊田社長は実質オーナー社長のように受け取られている。つまり、上場企業となっても創業家は実質オーナーとしての威光を保つことが多いのだ。それらの会社は実質的にファミリー・ビジネスであるといえる。

(この項 続く)

2018年11月16日金曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(4)

購入していたのがネット通販なので、購入本数の履歴が残っている。昨年の夏から換え芯だけで13本、ボールペン本体2本(芯が各3本)、合計19本の芯を購入してきた。机の中には予備として未使用が3本あるので、1年余の間に16本を使ってきたことになる。

これから詳細を記述するが、およそ半数が消費者としての私の立場からは使えなかった。

名のあるメーカーの、消費者向け商品としては聞いたことも無い高率な問題発生だ。市場に出回った商品の1%もクレームがつけば一般的にメーカーとしての死活問題となるが、本品に関して言えば、およそ多すぎる。単価が安い商品なので、声を上げていない消費者が圧倒的なのだろうが、私は2度にわたって、ゼブラ社に現品を送り、注意を促してきた。

その対応について電話もかけた。その顛末を記す。

(この項 続く)

2018年11月15日木曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(4)

前任者だった藤森氏も日本GEの会長兼社長を経て、外部から招聘されたプロ経営者だった。そんな藤森氏でさえ実質解任されて自分にバトンが渡されたわけだ。自らの業績が上がらなければ、あるいは下がるようなことがあれば、当然自分にも同様な途が示されることは覚悟して就任したはずだ。

 私はよく言うのだが、プロ経営者とプロ野球の監督は似ている。そのチームの戦績が振るわなければ、外部から新しい監督が招かれることがある。そして、多くの場合、数シーズンでまた次の監督にバトンタッチする。いってみれば、このような流動性が出てきたからこそ、プロ経営者も経営者市場に登場してくるわけだ。

 さて、2人のプロ経営者の更迭を主導した潮田氏は、LIXILグループ内でどれくらいの「資本力」を擁しているのだろうか。

 同氏はLIXILグループの前身であるトーヨーサッシを創業した潮田健次郎氏の長男で創業家の直系である。その持ち株数を見てみると、18年3月末現在で直接個人持ち株と、信託財産としての実質持ち株を合わせて、LIXILグループ発行済み株式の2.995%を保有している(18年3月期同社有価証券報告書より)。

 上場会社における創業家持分としては、それほど大きいほうではない。例えば、出光興産が昭和シェル石油との合併を最近まで踏み切れなかったのは、創業家の出光家がほぼ3分の1を有していたからである。

(この項 続く)

2018年11月14日水曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(3)

昨年の夏から、ネット通販Yからの購入に切り替えた後から、ボールペンの芯からインクがボタオチし、ボールペンの先部を汚く覆ってしまうようになった。私が愛用しているモデルは先端部が透明となっているのだが、そこが中からどす黒く変色してしまうのだ。

それに何より、滑らかに書けていたものが、線描がかすれてしまい、早い話し、使用に耐えなくなった。もちろん、問題が起きた換え芯は最後までインクを使い切ることは適わない。

換え芯1本の値段は廉価なので、そのたびに買い換えて済ましていたが、問題はその発生率の高さだった。

(この項 続く)

2018年11月13日火曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(3)

思い起こせば、瀬戸氏の前任だった、藤森氏の社長交代劇もドライというか、苛烈だった印象がある。藤森氏は、ドイツの水回り設備会社のグローエを買収するなど、海外戦略を加速させた。しかし、15年にグローエの中国子会社が不正会計を行っていたことが発覚し、660億円の損失が発生すると、その年の暮れには藤森氏の社長退任、瀬戸氏の就任が発表された。

藤森氏は辞めるつもりはさらさらなかったと見られていた。その年が明けて、社長交代の発表会見に後任社長が出席しなかった(瀬戸氏はイギリスに滞在していた)という異例の事態は、直前に更迭が決まったことを物語っている。当時から取締役会議長で指名委員会委員長の潮田氏が断を下した。


上場会社でオーナー?


 瀬戸氏は退任会見で淡々としていた。

「これからのLIXILをどうしていくかの方向性が違ってきた。潮田氏が違う方向を考えているのであれば、対峙するよりもそれをやってもらうことが一番だなと判断した」

 瀬戸氏はまた、「ポジションを譲るのもプロ経営者」と話して、恬淡としたところを示した。3年ほど前に招聘され、今回は短期間の業績暗転で交代を要請された。そんな経緯なのに強い遺憾の念を持っていないように見えるのは、瀬戸氏にプロ経営者としての覚悟と矜持があるからだろう。

(この項 続く)

2018年11月12日月曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(2)

ゼブラのボールペンサラサ3は、細字で水溶性のインクを使っている。そのため、書き味が滑らかで、私は数年来愛用している。

物書きという状況なので、筆記具を多用するので、常時5本ほど、このボールペンを使ってきた。机周り、かばんの中、車の中、テニスバックの中にも、という状況だ。

2017年の夏までは文房具屋さんで換え芯を求めていた。問題は無く、快適に使用していた。

問題が起こるようになったのは、8月からネット通販のYからの購入に切り替えてからだ。

(この項 続く)

2018年11月11日日曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(2)

業績が下降すると退任を迫られる、それが雇われ社長の辛さ

瀬戸氏の退任発表の前触れとなったのが、10月22日にLIXILグループが発表した今期業績の下方修正だ。2019年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比97%減の15億円に、事業利益が前期比40%減の450億円(従来予想は850億円)となると修正した。また、今期4-9月の上期決算では86億円の純損失が発生した
 10月31日の社長交代会見で潮田氏は「決算が原因ではまったくない」と話したが、そんなことはないだろう。

 業績の下方修正を受けて、10月22日には2062円を付けていたLIXILグループの株価は翌日1737円へと16%も下落した。ちなみに、10月31日の会見により株価は同日の1780円から11月1日は1530円と一段下げとなった。この社長交代が市場ではネガティブ要因としてとらえられた。

瀬戸氏が社長に就任した16年6月15日の前日の株価は1810円。就任後、今年1月の高値(3255円)までに80%上昇したのだが、10月23日には1737円へと下落してしまった。瀬戸氏の社長就任時の株価を下回ってしまったことから、現在でも大株主である潮田氏がそこで見切ったものと私は見ている。

(この項 続く)

2018年11月10日土曜日

なぜLIXILは、プロ経営者を連続解任したのか? 創業家、CEOに復帰で独裁経営(1)

リクシル本店(「Wikipedia」より/Rs1421
LIXILグループは10月31日に会見を開き、瀬戸欣哉社長兼CEOが来春に退任し、後任の社長に社外取締役の山梨広一氏が就任し、潮田(うしおだ)洋一郎取締役会議長が会長兼CEOに就任すると発表した。

潮田氏は創業家出身で、同社内で大きな意思決定権を行使している。同社では瀬戸氏の前任だった藤森義明氏に続いて、「プロ経営者」が短期での実質更迭となった。

 創業家が資本の保持だけでなく経営にも大きく関与している場合、招聘されたプロ経営者は機能しにくい場合がある。退任する瀬戸社長の本音はどんなものだろうか。

 また、直接経営に乗り出すことになった潮田氏だが、この機会に同社はオーナー経営型を続けたほうがよいのではないか。

業績が下降すると退任を迫られる、それが雇われ社長の辛さ


(この項 続く)

2018年11月9日金曜日

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2018年11月8日木曜日

ゼブラのボールペンサラサ3に問題が(1)

ゼブラ社のサラサ3シリーズというボールペンをここ数年来愛用してきた。

私は物書きなので、筆記具のヘビーユーザーである。

ところがこのボールペンの換え芯に連続して問題が起き、大いに不満に思っている。メーカーの対応も含めて、当方ー消費者側ーの利益を損なっている案件だと思った。

個人的に起きている問題なので本ブログに投稿するが、年商220億円を誇る筆記具の大手メーカーの商品に起きている品質問題としても提起したい。

本記事では私は一消費者としての立場だが、他の多くのユーザーも同じ問題を抱えているのではないかと思料する。私のところで起きている問題は他の消費者でも起きていると考える。その意味で、本件は公共性があり、多数のユーザー及び見込み客の利害に関係する公益性のある案件と考えた。

「たかがボールペンの芯」に起きた問題とは。

(本項 続く)

2018年11月7日水曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(8)

つまり単一商品の技術力より、大きなマーケット構造のほうがビジネスの勝敗を帰結させるものなのだ。

 私は若いときにマツダのロータリー・エンジン車に乗っていたことがある。当時としてはすばらしいエンジン性能に惚れ惚れしたものだ。マツダの当時の経営陣も陶酔していたのだろう。

 ロータリー車はしかし燃費の悪さでマスとしてのユーザーを持続させることはかなわず、やがてこのエンジンの開発と製造を続けているのは世界でマツダ1社となってしまった。そして、マツダはとんでもない経営危機に陥ってしまったのである。

 あまり昔の話なので、今のマツダの経営陣や技術陣はその記憶が薄れてしまっているのかもしれない。しかし、おもしろいことに強い共同体験は企業組織にも取り込まれて残るものだ。
ここでは、「技術信奉によって大きなビジネス戦略選択上の失敗を犯す」というDNAがそれだろう。

 マツダは早くヨーロッパのディーゼルから撤退したほうがいい。

(この項 終わり)

2018年11月6日火曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(7)

PLCセオリーと連動してプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)セオリーを援用すると、マツダの戦略的劣勢はさらに明らかになる。

PPMの4象限の中で、「ヨーロッパにおけるマツダのディーゼル展開」を当てはめてみると、「マーケット・シェア」の軸で極低、「マーケットの成長」軸では高低どころかマイナスということになる。

この2軸での組み合わせはPPMセオリーでは「Dog(負け犬)」と呼ばれる。そしてこの象限に入った商品や技術に与えられる戦略は「撤退」なのだ。

 マツダのディーゼル・エンジンの技術「SKYACTIV-D」は競争優位を持っているという。そして次世代のディーゼルでも優位性を持てそうだともいわれている。マツダのディーゼル技術は、製造の上では確かにコスト優位を実現しているかもしれないが、シェア1%の商品が「衰退期」フェーズでそのシェアを伸ばしていくには、巨額の市場開発費がかかる。マツダがそのコストに挑戦しきれるとは思えない。

(この項 続く)

2018年11月5日月曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(6)

ロータリー・エンジンの二の舞になる前に


 PLCで衰退期に入ったそのカテゴリー領域で残存者利益を享受できるには、一定のプレゼンスがあるプレイヤーとなる必要がある。簡単にいえば、マーケット・シェアの高い商品が、露出が高いので選ばれるのだ。具体的には、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラーというドイツの三大企業がディーゼル車の環境対応に力を入れている。つまり、安易に撤退はしない、という意思を見せているのだ。

 アメリカの自動車メーカーはもともとディーゼル車を選好していない。商品としてのディーゼル車モデルそのものが少ない。日本の自動車メーカーは、マツダを除いてこの市場から撤退を決めている。ヨーロッパのディーゼル市場で残って勝負しようとしているのは、ドイツの三大メーカーと日本からはマツダだけとなる。そして、そのマツダのシェアは1%強しかない。

 PLCセオリーで、ごく小さいマーケット・シェアのプレイヤーに希望があるのは、「成長期」である。マーケット全体が急速に成長すれば、「フォロワー」としての弱小シェア商品もつられて伸びていくことは多い。しかし、繰り返すがこのマーケットは急激に「衰退期」に突入しているのだ。

(この項 続く)

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(6)

「成熟期」は言ってみれば高位安定期、つまりビジネス・ボリュームのプラトー(高原)状態を指すが、ヨーロッパのディーゼル車セグメントは全体としてそれを過ぎて「衰退期」に入ったことは間違いない。1年間に4%強も落ちている売上カーブを見れば、それは明らかだ。

「衰退期」に入っている商品カテゴリーで利益を上げる戦略は「残存者戦略」となる。衰退していくマーケットから次々と競合他社が撤退していくと、「残り福」となったプレイヤーは残存者利益を享受できるというものだ。商品や技術の開発サイクルから考えても、大きな開発投資などが必要なのは「導入期」か「成長期」にあるとされる。

ましてや「SKYACTIV-D」は技術的・コスト的競争優位を達成したとマツダは誇っている。もう「濡れ手に粟」のような状態さえ考えているのではないか。

だが、それは間違っている。

(この項 続く)

2018年11月4日日曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(5)

しかしマツダのこの自信は、転換点を迎えてしまっているヨーロッパ市場でこれから通じるのだろうか。
 ヨーロッパでマツダがどれだけのビジネス・プレゼンスがあるのか見てみる。

 マツダはヨーロッパで合計26万9000台を販売した(17年3月期、同社発表数値)。このうち約3割がディーゼル車だというから(同社広報)、8万台強がそれに当たる。ちなみに日本国内でのディーゼル販売比率は約4割だそうだ。

 前述したように、18年上半期のEC+EFTA30カ国でのディーゼル車の販売数は349万台であり、年換算すれば約700万台となる。つまりヨーロッパにおけるマツダのディーゼル車のシェアは約1.2%程度という勘定になる。

 ここで、商品がプロダクト・ライフ・サイクル(PLC)のある特定の局面ではどのように利益を上げる可能性があるかを考えてみよう。PLCセオリーでは、特定の商品や商品カテゴリーは4つのライフ・サイクルをたどると説明されている。「導入期」「成長期」「成熟期」、そして「衰退期」だ。

(この項 続く)

2018年11月3日土曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(4)

通じるかマツダ、自社技術への自信


 前述したマツダの藤原副社長が示した自社のディーゼル技術への自信と、ヨーロッパ市場からの撤退を表明していないことについて、マツダの広報部に方針を確認した。

 まず「マツダはヨーロッパ市場からもディーゼルからも撤退する方針はない」(マツダ広報部)とした上で、その理由を次のように説明した。

「マツダのディーゼル技術を『SKYACTIV-D』と呼んでいます。このエンジンでは燃料である軽油のエンジン内での圧縮比率を効率化することにより、他社のディーゼル・エンジンよりNOxの排出量を少なくすることに成功しています。他社のエンジンでは多くの場合、排出されたNOxを後処理するための装置を付加しているのですが、『SKYACTIV-D』はそれが不要なのです」(同)

 つまり、環境的にもコスト的にも競争優位を持っているとの認識である。そして「世界での販売台数を2023年度に200万台にするのがとりあえずの目標です」(同)とした。200万台の内訳、つまりヨーロッパだけ、あるいはエンジン種別での目標台数は示していない。ちなみに17年3月期のマツダの世界販売数は162万台だった。

(この項 続く)

2018年11月2日金曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(3)

自動車が排出する環境汚染物質は、CO2(二酸化炭素)とNOxがある。ガソリン車に比べてディーゼル・エンジンはCO2の排出量が少ないこと、燃費が良いことから特にヨーロッパ市場で受け入れられてきた。

ところが2015年に独フォルクスワーゲンによるディーゼル・エンジンの排出不正問題が発覚して以降、環境規制の厳格化も相まって、世界のディーゼル市場は大きなダウン・トレンドに突入してしまった。

 問題の出所となった北米市場ではディーゼル車のマーケット・シェアはもともと大きくなかったのだが、大きな痛手を被ったのが、ガソリン車よりもディーゼル車のほうが売れていたヨーロッパ市場だった。

 ピークの11年には西欧18カ国でディーゼル車のシェアは56%を占めたが、直近18年上半期では域内でのディーゼル車の販売総数349万台(対前年同期比4.2%マイナス)に比べ、ガソリン車は365万台(対前年同期比9.9%増)となった(欧州自動車工業会発表、ただしEUとEFTA<欧州自由貿易連合>全30カ国の合計)。域内でガソリン車の売上がディーゼル車を上回ったのは、09年以来8年ぶりだそうだ。

 今年前半のヨーロッパでのガソリン車の増え方は前年比9.9%増という、ほぼ2桁である。このパラダイム・シフトとも呼べる変化は、マーケットの大転換点と見ることができる。

(この項 続く)

2018年11月1日木曜日

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞(2)

日本車7社のうち、最後のマツダの方針に注目が集まっていたが、マツダの選択は意外なことに、「ヨーロッパのディーゼル車市場でまだまだがんばる」というものだった。

 スズキの撤退が報じられた少し前の10月2日、マツダは「技術説明会2018」を開催した。その席上で今後のディーゼルの展望について、マツダの藤原清志副社長(研究開発部門も統括)は次のように述べた。

「ディーゼルは今後も諦めずに開発していくつもりで、まだまだ将来的に可能性があると思っています」

 このコメントは、ヨーロッパ市場だけを意識したものではなかった。

「その理由は2つあって、1つは燃料が低価格の軽油であること。もう1つはトルク(エンジンのねじり力)が大きいので、(車体が重い)SUVのクルマなどに適しているからです。NOx(窒素酸化物)をさらに減らしていくという課題はありますが、ハイブリッドの電動化をプラスすることで、さらにディーゼルの良さを追求できると考えます」(同)

(この項 続く)