創業家の潮田氏がCEOに復帰した理由
創業家が直接経営に乗り出さずに外部からプロ経営者を招聘して、その後に更迭した例として記憶に新しいのが、ベネッセホールディングスだ。日本マクドナルドですばらしい実績を残した原田泳幸氏を招聘した。しかし、2年後には実質解任された。
ベネッセの創業家は福武家だが、同家が直接あるいは信託銀行を経由して実質保有している株式は、同社の23.14%に上る(18年3月期同社有価証券報告書から筆者調べ)。大経営者といわれた鈴木敏文氏をセブン&アイ・ホールディングス会長職から解き、詰め腹を切らせた伊藤家の実質保有株は、同社の10%を超え、実質的に筆頭株主である。
出光家、福武家、伊藤家と比べ、LIXILグループでの潮田家の保有株式比率は小さい。しかし会社を上場しても、創業者あるいは創業家が強い意思決定権を保持しているケースは、実は枚挙に暇がない。たとえその保有株式数が少数だったとしてもだ。
たとえば、トヨタ自動車の豊田章男社長は創業者の豊田喜一郎氏を祖父に持つ御曹司とはいえ、豊田社長の持ち株比率は0.1%で、豊田家全体でも1%程度である。創業家といってもオーナーではない。それにもかかわらず豊田社長は実質オーナー社長のように受け取られている。つまり、上場企業となっても創業家は実質オーナーとしての威光を保つことが多いのだ。それらの会社は実質的にファミリー・ビジネスであるといえる。
(この項 続く)
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