2018年3月18日日曜日

伊調馨パワハラ告発者と貴乃花親方、シンクロし合う「告発ラリー」(6)

告発ムーブメントがスポーツ界でも


 昨年ハリウッドから起こりアメリカ全土はおろか世界的に広まったのが、女性に対する性的ハラスメントの告発運動だ。今までは孤立していて声を上げることのなかった女性被害者たちが、このムーブメントに励まされて被害を告発し始めたのだ。

 伊調問題と貴乃花親方の告発でも、旧態依然たる競技団体というムラ社会のなかにいて声を上げにくかった被害者側が、影響しあって問題を指摘し始めたのだ。上下関係の厳しい相撲界では「無理へんに拳骨と書いて兄弟子と読む」などという言葉までが使われてきた。しかし、競技団体というのは、つまるところそこに属する選手のために存在するはずだ。弱い立場の選手が貶められたり、パワハラに泣くようなことがあってはならない。

 思えば、スポーツ界における告発ムーブメントの走りは、2013年に発覚した女子柔道選手に対するパワハラ・セクハラ事件だったと思う。私たちは、虐げられたほうの存在である被害者側の告発を強く支持するべきで、一部記事に見られる「世渡り下手の貴乃花親方、深まる孤立」などと、その行動を腐したり貶めるべきではない。

(この項 終わり)

2018年3月17日土曜日

伊調馨パワハラ告発者と貴乃花親方、シンクロし合う「告発ラリー」(5)

ただ、できれば伊調問題と同様に弁護士をスポークスマンとして前に出せば、さらによかったのではないか。弁護士という公正な立場が、孤軍奮闘して孤立したようにもみえる貴乃花親方の立場を強く補完できたのではないか。

 伊調問題と今回の貴乃花親方の告発は、その進展において互いに影響しあってきたと私は見ている。昨年10月以降の貴乃花親方による被害届提出とその後の展開がなければ、伊調選手のために告発しようという勇気は告発者に出なかったのではないか。告発状は今年1月18日に提出された。貴乃花親方の毅然とした対応に、伊調選手を擁護する告発者は背中を押されたと見ることができる。そして、3月1日にその事実が報道されると、今度は貴乃花が同様な告発を9日に断行した。「告発ラリー」ともいうべき2事案がシンクロして進行したと推察される。お互いの行動、そして信念が、互いに勇気を与え背中を押して進んでいる。

 興味深いのは、両事件とも被害者本人は告発に及び腰であることだ。伊調選手は事態が報道されるとただちに所属会社を通じて「告発状については一切かかわっておりません」という声明を出した。貴ノ岩に至っては、事件の翌日わざわざ加害者である日馬富士に謝罪に出向いているばかりか、傷を押して稽古を始め、事件がなかったかのように振る舞った。

 狭いムラ社会であるスポーツ界で生きる選手たちは、「その後」を慮って自らコトを荒立てるのをためらう傾向がまだ強い。その壁を破って協会と対峙するというのは、よほど信念のある人でなければならない。ひたすら相撲道を追求する貴乃花はそのような人物だ。

(この項 続く)

2018年3月16日金曜日

伊調馨パワハラ告発者と貴乃花親方、シンクロし合う「告発ラリー」(4)

貴乃花はさらに告発状のなかで、巡業部長でありながら協会に事件の報告を怠り、調査への協力要請も再三にわたって拒否したことなどから理事を解任されたことについて、「解任事由に相当するような理事の職務義務違反になると認めることは困難」と主張している。

そして公益認定等委員会に「(協会への)立ち入り検査、質問及び、適切な是正措置を求める勧告」を求めたとした。

相撲道、信念の人


 前述の通り、貴乃花親方は公益財団法人を管轄する公益認定等委員会に告発状を提出するという手段を、伊調問題の報道をみて思いついたのではないか。3月1日に「週刊文春」(文藝春秋)によって第1報が報じられ、貴乃花は3月9日の理事会前に弁護士と相談して、同じ行動を取ったと推察される。

(この項 続く)

2018年3月15日木曜日

伊調馨パワハラ告発者と貴乃花親方、シンクロし合う「告発ラリー」(3)

いわば、相撲協会に真っ向から果たし状を叩きつけている。事件への対応についても、次のように容赦なく告発している。
「本件傷害事件の調査・報告、日本相撲協会の各組織による決議・発言等については、不当・不適切にとどまらず、違法なものも存し、公益法人としての日本相撲協会及びその各組織の適正な運営には次に述べるとおり、重大な疑義が生じています」

 また、相撲協会が委託して同事件を調査した危機管理委員会については「被害者の同意を得ることなく、被害者の具体的な診断内容を入手して報道機関に公表しています」と指摘した。個人情報保護という観点からはその通りだろう。

「さらに同委員会は、被害者の主張を聞く前に中間報告要旨を公表し、その後の最終報告においても重要な点で被害者の主張が全く反映されておりません。このように、本件傷害事件に関する日本相撲協会による調査は、公正中立な内容とは到底評価できないものであり、身内による全く不十分な調査と報告をもって済ませようとしています」

 貴乃花のこの指摘、主張には説得力がある。危機管理委員会が相撲協会の内部機関である以上、被害者側からのこのように指摘されてしまえば反論することは難しいだろう。

 前述の伊調問題においてレスリング協会の倫理委員会がただちに第三者委員会に調査を委嘱したのは、相撲協会の内部機関である危機管理委員会の調査結果が、最後まで「眉唾もの」として受け止められたいきさつを踏まえたものとも推察される。

(この項 続く)

2018年3月14日水曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(11)

対談を終えて 山田の感想



 第三世界に井戸を掘るためにビジネスを始めた、この1点で松岡代表は世界に2人といない経営者であり、篤志家だ。この、青年のようなというか青年にも滅多に見られない理想家の快男児、松岡代表に私はいくつか助言をさしあげた。

 ひとつ目は、世界地図を販売した利益で井戸を掘るというビジネスモデルを逆にして、まず寄付を求めて、そのお礼に世界地図を進呈するというパターンも検討したら、ということである。

 2つ目は、日本以外で壁貼り型の世界地図はあまり普及していないということ。それなら外国語版世界地図の海外販売ということだろう。そのためには、ホームページからのインターネット販売が一番手っ取り早い。英語バージョンのECを早急に立ち上げたらどうか。読者のなかで篤志家やボランティアの方がいれば、ぜひ連絡を取ってみてほしい。

 3つ目は、販売している世界地図の裏側を活用すること。現在は白紙だが、そこに発注の方法やら、井戸の寄付のこと、実績などをデフォルトで刷り込んでしまうことをお勧めした。

 理想に燃える松岡代表に私は打たれた。ぜひ、井戸寄贈プロジェクトが大きく展開されることを祈っている。




カンボジア西部のタイ国境近くの村で開削した井戸を押す松岡代表








(この項 終わり)

伊調馨パワハラ告発者と貴乃花親方、シンクロし合う「告発ラリー」(2)

相撲協会への果たし状


 3月9日、貴乃花親方は相撲協会理事会を欠席した。日馬富士による暴行事件への巡業部長としての対応を問われてすでに1月に理事職を解任され、2月2日の理事候補選挙では立候補するも落選しているので、この日の理事会が貴乃花が出席する最後の理事会となるはずだった。

 協会には「所用のため」と事前連絡があったが、八角理事長(元横綱北勝海)は「良くないことだね。なんの用かわからないが」と苦言を呈し、尾車事業部長(元大関琴風)は「来ない理由がわからない」と首をかしげたとされる。

 この日の貴乃花親方の欠席は確信犯だった。というのは同日、貴乃花部屋のホームページ「貴乃花親方からのメッセージ」コラムが更新され、自身の名前で「内閣府公益認定等委員会に対する告発について」という文章がアップされたのだ。この文章で貴乃花親方は、相撲協会の危機管理委員会による調査が第三者によって行われたものではなく、最終報告でも被害者である貴ノ岩の主張がまったく反映されていない、などとして、以下のように綴っている。

「私は、本日、内閣府公益認定等委員会に対し、代理人弁護士を通して、公益財団法人日本相撲協会による本件傷害事件への対応が、事業の適正な運営の確保に重大な疑義を生じさせるものであることから、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律に基づく立ち入り検査、質問及び適切な是正措置を求める勧告をしていただきたい旨の告発状を提出いたしました」

(この項 続く)

2018年3月13日火曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(10)

――御社のリーフレットには、「世界地図は世界を救う」「もう戦争なんてやめよう!」という見出しがあります。すばらしいですね。

松岡 これらの実現を目指して、私は世界地図ビジネスを一生展開しようと思っています。

――商品としての世界地図ですが、いろいろなバージョンの企画やデザインは、どのように行っているのですか。

松岡 デザインや印刷は外部に委託します。各国の国境の表示は、その時現在での日本の外務省の表示を採用しています。各国の指標資料など、アカデミックな内容のチェックは専門家に委託して間違いのないように努めています。商品の企画も実質的に私だけでやっていますが、現在の悩みは販路開拓です。

――松岡代表は前職の時代からボランティアや社会貢献に尽力なさってきましたが、どのような経緯でそのようなことに関心をもたれたのですか。

松岡 月光仮面です。子供のときにテレビで見たヒーローです。「世のため、人のため」ということに強く憧れてきました。

――74歳でいらっしゃいますが、後継者は?

松岡 それがまた頭痛の種です。次男に期待したのですが、受けてもらえなくて。誰か後継者はいませんか。

――すばらしい事業・運動を展開なさっているので、ぜひ継続・発展を図ってください。本日はどうもありがとうございました。

松岡 ありがとうございました。

(この項 続く)

伊調馨パワハラ告発者と貴乃花親方、シンクロし合う「告発ラリー」(1)

女子レスリングの伊調馨選手と栄和人強化本部長(AFP/アフロ)
元横綱日馬富士による傷害事件をめぐる日本相撲協会の対応に問題があったとして、1月に相撲協会理事を解任された貴乃花親方が、内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出した。

 貴乃花親方のこの思い切った行動は、その約1週間前に女子レスリングの伊調馨選手が日本レスリング協会の栄和人強化本部長からパワハラを受けているとする告発状が、同じく同委員会に提出されていた事実が明るみに出たことと無関係ではないだろう。

 前近代的な競技団体組織のなかで起こった2つの造反劇はまた、海の向こうで大きな動きとなっているセクハラ告発ムーブメントである「#MeToo」と軌を一にしている。権利意識に目覚めた被害者的立場の人たちが声を上げ始めている。告発された組織の側は自らの擁護に走っているが、社会人として私たちは声を上げた被害者側を強く支援したい。

(この項 続く)

2018年3月12日月曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(9)

――個人の篤志家なら、そのほうがいい場合もあるでしょう。たとえば私が毎年出す年賀状の数は200枚台ですが、個人が世界地図を5,000枚もらってしまったら始末に困ります。個人の方を巻き込むなら、むしろ枚数を減らしたほうがいいでしょう。

松岡 私は、世界に井戸を、綺麗な水をということで、その手段として世界地図ビジネスを始めたのですが、世界地図ビジネスを展開していくうちに、この商材でさらに大きな夢を追えることに気がつきました。

 坂本龍馬が地球儀を見せられて自らの蒙を啓かれた、という話があります。子供たちに世界地図を見てもらい、自分の国だけではなく世界のことを知ってもらう、俯瞰してもらう。それによって、自分たちの国や地域で起きている紛争や戦争の愚かさに気がつくことになる。

 ノーベル平和賞を受賞したパキスタンのマララ・ユスフザイさんは「1冊の本で世界を変えられる」と言いました。私は世界地図もそんな力を持っていると思います。イラクやシリア、またアルカイダの子供たちが世界地図を見て、「お父さん、戦争なんかやめよう」ということが起きればいいなと願っています。

(この項 続く)

大成建設、リニア談合「否定」で検察に徹底抗戦…社員寮に資料隠匿疑惑、競合と「勉強会」(5)

欧米では、パーティーで競合会社に会ったら法務部にレポート


 私は現役社長時代、アメリカの大手企業の日本法人社長を務めたことがあった。毎年、本社に各国の責任者が招聘されるのだが、その世界会議では数年おきに本社の企業内弁護士が演壇に立ち、アメリカの独占禁止法についてレクチャーした。それは、海外子会社の行動に対しても米国本社にペナルティが課せられるからであり、ひとたび独禁法違反が認定されると恐ろしく高額な罰金がその企業に課せられるからである。具体的には、弁護士から次のように注意された。

「パーティーで偶然、競合会社の幹部と会ったら、必ず相手の名前、肩書き、話した内容について本社の法務部にレポートすること。決して話していけないのは、当社や相手の価格やビジネス動向、自分が関与する市場の動向、将来見込みなどである」

 つまり、パーティーで同業他社の名刺をもらったら、一目散に逃げろ、クビになるリスクと遭遇したと思え、ということだった。欧米の独禁法の怖さは、外国の企業、つまり日本企業にも適用されるということだ。実際に過去に北米やヨーロッパで数百億円単位の罰金を払わされた日本企業はいくつもある。そのため、国際的に展開していたり、輸出が多い日本企業のなかには、独禁法や不公正取引に対する知識や感覚を有しているところが多くなった。

 しかし建設業界は国内向け事業の比重が高く、いわゆる「純ドメ(スティック)」体質が強いことから、不公正競争に対する理解が進んでいない。05年に4社が出した「談合決別宣言」はなんだったのか。まったく懲りない業界だ。

 特捜部がまなじりを決して立件しようとする意気やよし、である。

(この項 終わり)

2018年3月11日日曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(8)


国際交流にも発展



――現地での日本人コーディネーター、協力者の存在が大きい、ということですね。

松岡 スムーズに井戸掘削を進める上では必須だと思います。

――現在は松岡代表の個人的知り合いだけで展開していますが、この事業は有意義なことから、できればJICA(国際協力機構)などと連携できるといいですね。JICAから第三世界の多くの国に日本人専門家が派遣され、常駐しているわけですから。

――代表の井戸掘りプロジェクトは、各国でとても感謝されているでしょうね。

松岡 カンボジアで開削した地域にカムリエン高校というのがあります。ここの校内に掘られた井戸は、青森県の八戸高校が当社の世界地図5,000枚をご購入いただいたことで寄付されました。この寄付が経緯となり、カムリエン高校と八戸学院光星高校が姉妹校となりました。カムリエン高校からチェンターさんという女生徒が八戸学院光星高校に留学してきて、さらに松山東雲女子大学を卒業し、その後、愛媛県内の企業に就職して在日しています。

――国際交流にも発展したわけですね。そういう現地の衛生確保に貢献したい、という企業や個人は結構いると思います。世界地図を貴社から5,000枚購入することでそれが実現できるわけですね。もっと知られてよいことだと思います。

松岡 前述の通り海外井戸掘りへの直接寄付というかたちもお受けしていまして、その場合は工事難度によって20万円から30万円の寄付をお受けして、そのお礼として世界地図を500枚さしあげる、というスキームもあります。

(この項 続く)

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(6)

今回のパワハラ疑惑の告発者は、日馬富士による暴行事件が公けになる経緯と結果を見て勇気付けられ背中を押されたということも、告発状が提出されたタイミング(1月18日)から推察される。

 日馬富士による暴行事件の際は、メディアに東京相撲記者クラブ会友や相撲ジャーナリストが登場した。彼らの大部分は相撲協会と共存共栄しているような立場であり、得てして相撲協会寄り、八角理事長擁護、貴乃花親方批判というスタンスに立っていた。そのような体制側からの指弾を浴びながら毅然として刑事事件としての立件を実現した貴乃花親方の見識は高く評価されるべきだ。

 今回の伊調選手パワハラ疑惑についても、日馬富士による暴行事件がたどったような、社会的常識に則ったかたちでの解決に向かってほしい。組織の上位者からのハラスメントに対して、毅然として声を上げる風潮が後押しされるべきだ。

(この項 終わり)

大成建設、リニア談合「否定」で検察に徹底抗戦…社員寮に資料隠匿疑惑、競合と「勉強会」(4)

「あの工区、技術的に難しいな」と、A社とB社の両方の幹部が述べたとする。A社のほうは本音で言ったとしたら、その工区の受注意欲の低さを吐露している。B社はただ相槌を打ち、「A社の応札の可能性は低いので、ウチは少し高く札を入れてもいいだろう」と、有能なビジネスパーソンならそう思わなければいけない。これはそのまま、不公正競争の端緒となっている。

 4社でリニア工事を担当し、今回の談合疑惑に関与したとされるのは、いずれも「理系技術者」で技術的興味が強いとされる幹部たちだ。リニア関連工事に関する技術情報を共有しようとする意欲が強かったと推測される。逮捕された大成建設の大川容疑者と、談合を認めた大林組の元副社長は早稲田大学理工学部の同級生で、同窓会やゴルフコンペなどで定期的に会っていたとされる(3月3日付読売新聞記事より)。

「会社は談合防止のルールをつくっている。不正が事実だとすれば、個人の問題だと思う」(同記事より/鹿島社員のコメント)

 このコメントはこの業界の不公正取引への意識の低さを物語っている。元同級生の2人が特定の工事について情報を交換、共有することは、個人間の親睦ではなく企業としての不正行為なのだ。大手ゼネコン4社は、たび重なっていた談合事件を反省して2005年12月に「談合決別宣言」を出した。ところが4社はリニア工事が始まる前後から、将来受注を目指す工区ごとに工法や地質の研究を行う「勉強会」を開いてきたという。

「談合しなくても、どのゼネコンがどの工区の受注を目指しているのか周知の事実だった」(同記事より/ゼネコン関係者)

 つまり、「勉強会」という名の談合だったことになる。

(この項 続く)

2018年3月10日土曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(7)

――そもそも第三世界の国で井戸を掘るというのは、どのような意味があるのですか。

松岡 現在の活動の契機になったのは、カンボジアで住民たちが泥水を沸かして使っているのを目撃したことでした。本当に茶色の水で、とても不衛生でした。私たちがお手伝いする井戸は昔ながらの手動ポンプ式の井戸ですが、ひとつ開削するとその集落全体で使えます。およそ500m四方の住民の人たちに共有してもらえます。

 井戸1基掘ったことで、まず5歳以下の乳幼児の死亡率が劇的に減りました。発展途上国での乳幼児死亡の原因のひとつは不潔な水による下痢という現状があるのです。また、成人を含む死因の80%は不衛生な水によるとも聞いています。水が綺麗になったら、80%の病気が防げる可能性があります。

――掘削する国はカンボジアが多いのですか。
松岡 もちろん、いろいろな国で展開したいのですが。カンボジアは、まず私が最初にこの事業を思い立ったところですし、R.Tさんという、第1回PKO(国連平和維持活動)隊員としてカンボジアに地雷撤去のために赴任されて、定住なさった方がいます。この方がタイとの国境沿いにお住まいで、実際の井戸掘りのコーディネートなどなさってくれています。今現在も2カ所で掘ってもらっています。タイとの国境沿いのほかに、アンコールワットの奥地でも1カ所掘削中です。

――カンボジア以外では、どう展開なさってきたのですか。

松岡 バングラデシュでも手がけましたが、そこでは水質の問題が起こりました。現地で協力していただけるY.TさんとR.T.さんの存在が大きく、私の井戸掘り事業がカンボジアに集中してきました。彼らがいるので、私は新しい井戸が開削されるたびに現地を訪問するわけではありません。

(この項 続く)

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(5)

貴乃花親方の見識と矜持


 さて、一見無関係のような2つの事案だが、今回のパワハラ疑惑が公けになったタイミングから、私は相関があると見ている。伊調選手が練習場などについて不利な立場に置かれていたことや、栄氏が田南部力コーチにモスクワでの世界選手権の折にホテルのロビーで「伊調のコーチをしないように」と発言したと告発されているが、「レスリング関係者の間では知られた話」というコメントが多数報じられている。これはつまり、「レスリング界の人々はみんな知っているのに、知らないふりをしている」「悪いことが糾されていない」ということだ。

 多くの関係者が知っている事実が告発によって公けとなったという構図は、日馬富士による暴行事件と同じではないか。暴行事件は昨年11月から12月にかけて大きく報じられ続けた。被害者側である貴乃花親方への非難もあったが、加害者の日馬富士は引退というペナルティを負い、傷害罪で略式起訴され、鳥取簡裁から略式命令を受けて罰金50万円を納付している。

(この項 続く)

大成建設、リニア談合「否定」で検察に徹底抗戦…社員寮に資料隠匿疑惑、競合と「勉強会」(3)

この抗議文が提出されたところ、特捜部はそれに答えるどころか(その義務はもちろんない)、2日夜も第3回目の同社への立ち入り捜査を行ったのである。これは異例のこととされ、大成建設に対する特捜部の疑惑は以前から強いものがあったと推測される行動だ。

 疑惑を裏付けるような大成建設側の行動もあった。昨年12月に特捜部の捜査が始まってから、談合案件に関連する資料や書類を社員寮に移動し、2月に行われた社員寮への捜索で資料が押収された。

同社は検察の調べに対し「罰金付きの守秘義務を課せられていた上、今後の工事で参考になるので移動させただけ」などと隠匿の意図を否定しているというが、常識的に通用する説明ではなく、隠匿と批判されても仕方ないだろう。


「勉強会」がいけない


 前述のとおり、大成建設と鹿島は、「4社間の接触はあったが、単なる情報交換だった」として談合を否定している。もし不公正取引に厳しい欧米であれば、とても通らない理屈だ。

(この項 続く)

2018年3月9日金曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(6)

すでに392基の井戸を開削


――松岡代表が世界地図ビジネスを創業・展開なさっているのは、世界に井戸を掘ろう、提供しようという理想がおありになったわけですね。
松岡 世界地図のビジネス展開は、実はその活動の原資を稼ぐことが目的です。私どもがお手伝いした海外での井戸掘削は現在、392基が完成しています。

――世界地図ビジネスの展開において、井戸掘りと関連づけたりされているのでしょうか。

松岡 地図ビジネスの展開では、あまり井戸掘りのことは訴求していませんが、オリジナル地図5,000部をご発注いただけると、その売上約60万円で海外に井戸を1基開削できます。その井戸には記念プレートを設置し、ご発注者のお名前を「寄贈者」として刻ませていただきます。

――直接寄付する、ということもできるのですか。

松岡 はい。個人で寄付していただいて、井戸の開削式にお出かけになった篤志家の方もいらっしゃいました。

(この項 続く)

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(4)

今回被害者とされる伊調選手、暴行事件の被害者である貴ノ岩は、個人競技を闘うアスリートという点で共通している。加害者とされたのは、今回は栄氏、前回は日馬富士で、いずれも組織のなかで大きな権力あるいは影響力を持っている人物である。敬意を持って遇され一目置かれているので、被害者よりも防衛的に扱われ、あるいは忖度が働いているような存在と見ることができる。

 組織として対応しているのは、前者ではレスリング協会、後者では日本相撲協会で、格闘競技の協会だ。

 レスリング協会は前述のとおり「事実はございません」との見解を示し、相撲協会の八角理事長は貴乃花親方に被害届を取り下げるよう圧力を掛けたと貴乃花親方自身が証言している。いずれも組織防衛的に被告発者の権益を守るような言動をして、結果として告発者や被害者の立場を軽視するかたちで対応していた。

 被害者とされる当事者の対応も興味深い。伊調選手は前出「週刊文春」の取材に対してパワハラの事実を認めているものの、報道直後に所属会社を通じて「告発状については一切関わっておりません」との声明を出した。貴ノ岩は、事件の翌日わざわざ日馬富士に謝罪し、傷を押して稽古を行ったと報じられている。

 狭いムラ社会であるスポーツ界で生きる選手たちは、「その後」のことを考えて、事態を荒立てるのをためらう傾向が強いようだ。

(この項 続く)

大成建設、リニア談合「否定」で検察に徹底抗戦…社員寮に資料隠匿疑惑、競合と「勉強会」(2)

大林組と清水建設は談合を認めた


リニア工事で今回検察側が特に絞って捜査を進めているのが、品川新駅と名古屋新駅の工事だという。いずれも技術的難易度が高く、大手4社しか施工能力がないとされる。昨年12月に特捜部が為計業務妨害容疑で大林組を捜査したのが、立件への契機となった。4社のうち、大林組と清水建設は談合を認め、1月までに独禁法の課徴金減免制度(リーニエンシー)により、公正取引委員会に違反を自主申告している。
 ところが、この談合に加わったとされ、今回幹部が逮捕に至った大成建設と鹿島では、両新駅工事の受注に至っていない。それだけに、両社は2駅に関する談合をしていないとして、談合参画疑惑を一貫して否定してきた。

 特に大成建設は特捜部の捜査に対して強く反発していると見受けられ、特捜部との対立、対決とまで呼べる状況が醸成されてきた。大成建設に対する特捜部の立ち入り捜査が1度で済まず、2月1日に2回目が実施された。その翌2日、同社の弁護人が「捜査は大成関係者に圧力を加えるものである」などとして特捜部に抗議文を提出し、次のように捜査の問題点を指摘している。

・検察官が、大成の委託を受けた弁護士や社内弁護士のPCを押収したり、社員に聴取した弁護用の記録文書を押収した。
・検察官が役職員を社長室に呼び出し、「社長の前でも嘘をつくのか!」「ふざけるな!」などと威圧的な態度を取り、検察に有利な証言を強要しようとした。

(この項 続く)

2018年3月8日木曜日

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(3)

「まず、当協会が伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はございません。同様に、当協会が田南部力男子フリースタイル日本代表コーチに対し、伊調選手への指導をしないよう、不当な圧力をかけた事実もございません」

 こういう文章は「木で鼻をくくったような」と評することができる。

問題の告発文は、同協会幹部のパワハラ疑惑を糾弾したものだ。このレスリング協会の声明直後の3月2日、林芳正文部科学相は同協会が伊調選手と栄氏に調査を行うと発表したが、同協会は「事実はございません」とする見解を出す前に、指弾されている栄氏の行動がどうだったのか、それに対する事実確認や見解の表明が必要だったといえよう。報道が明らかとなった後、短時間で出された「見解」なら、「これから十全に調査する」という表現が最低限の誠意ある見解といえる。

ちなみに日本レスリング協会副会長である馳浩元文部科学大臣は、「私たちと強化本部長、伊調選手が一緒にテーブルを囲んで話をすれば済む話だと基本的に思っている」との見解を示している。


相撲協会もレスリング協会もムラ社会


 今回の事件と、前述の日馬富士による暴行事件が構造的にどのように似ているのか。プレイヤーズ・セオリー(登場人物と役割)によって見てみよう。

(この項 続く)

大成建設、リニア談合「否定」で検察に徹底抗戦…社員寮に資料隠匿疑惑、競合と「勉強会」(1)

山梨リニア実験線で試験中のL0系(「Wikipedia」より/Hisagi)
捜査が進んでいたゼネコン大手4社によるリニア中央新幹線工事談合事件では、3月2日に大成建設の元常務・大川孝と鹿島の担当部長大沢一郎の両容疑者が独占禁止法違反の容疑で逮捕される事態に至った。

 両容疑者は「受注希望の工事について意見交換はしたが、談合はしていない」と容疑を否認している。鹿島は「誠に遺憾であり、関係者に多大な心配をかけていることを深くおわび申し上げる」とコメント。大成建設は「25回、約3カ月にわたり任意で取り調べに応じているにもかかわらず逮捕された」「到底承服しかねる」とコメントし、逮捕への反発を露わにした。

 大成建設幹部が東京地検特捜部による任意の事情聴取に対し、談合があったことを認める供述をしているという一部報道もあるが、現時点で両社の会社としての主張は、「談合をしたとされる4社間で接触はあったが、それは単なる情報交換で、談合して受注となった実績はない」というものだ。しかし、実は競合会社が接触して情報交換すること自体が、不公正競争だとみなされる可能性もある。不公正取引に厳しい欧米のビジネス規範に学ばなければならない。

(この項 続く)

2018年3月7日水曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(5)

――広告媒体ということなので、販売対象は企業ですね。

松岡 塾、学校、それから銀行や企業、JICA(国際協力機構)などの国際団体が毎年購入、配布してくれています。ロータリークラブやライオンズクラブでも購入していただいています。それぞれの顧客や関係先に配っていただいて、世界地図を見る習慣を付けてもらいたいと思っています。
学校なら家庭に配るので子供が世界を知るきっかけになります。トイレに貼られることも多いですね。

――広告媒体であり、啓蒙・教育媒体というわけですね。さすがに元教育者だと思います。

松岡 「読み書きそろばん」と言いますが、私は「読み書きそろばん、世界地図」と言っているんですね。世界地図を見ていることにより、知識が深まるだけでなく、世界への興味が湧き、大きな夢が育つのです。世界の人々に世界地図を見る習慣を持ってもらいたい、と願っています。

 坂本龍馬が勝海舟の暗殺を企てていたことがありました。ところが地球儀を見せられたことにより、日本の置かれた現状に気がついて、その愚挙を取りやめた、という話が伝わっています。世界の広さを知った龍馬自身が攘夷論者から開国論者に変わったことで、明治維新が成功し植民地にならずにすみました。

――世界地図に関するビジネスは御社独占なのですか。

松岡 独占ではありませんが、弊社はフルカスタマイズと名入れができる世界地図の制作販売について、最初に実用新案登録を行った会社であり、その世界地図の制作販売だけを行っています。そんな会社はほかに聞いたことがありません。

また、いろんな国にも行きましたが、細かく調べるような世界地図や地図帳はあっても、シンプルで楽しい世界地図はないので、弊社はシンプルで楽しく見たくなるような世界地図を考えて制作しています。

――それでは、英語バージョンなども展開なさったらいかがですか。

松岡 実は商品としては開発しており、海外での販路開拓を始めたばかりで、越境ECサイトも昨年末に公開したところです。

――どんな価格体系なのですか。

松岡 国内では500枚からお受けしていて、地図の下の段を自由につくれます。全体をオリジナル版でご発注いただくには5,000部以上からですが、その料金は60万円ほどです。この60万円のなかから、カンボジアでネーム入りの井戸を1つ寄付することができます。


(この項 続く)

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(2)

その告発状は伊調選手本人が出したものではなく、いわば事態に憤慨した複数のレスリング関係者が提起したという。そのなかには、オリンピック出場経験のある選手もいるそうだが、告発者は表に出ることはなく、貞友義典弁護士が代理人となっている。

「この告発状は、五輪出場選手を含む複数の協会関係者から依頼され、作成したものです。(略)しかし内閣府は『参考にする』と言うのみで、一ヶ月以上経っても調査に動く気配すらありません」(貞友弁護士、「週刊文春」<文芸春秋/3月8日号>より)

 告発状の概要はすでに大きく報じられているので、ここでは告発されたほうの対応に触れておきたい。告発されたのは、伊調選手の恩師でもある栄氏だ。栄氏は五輪女子金メダリストを複数輩出している至学館大学レスリング部の監督であり、日本レスリング協会で男女を統括する強化本部長でもある。いわばレスリング界で一定の権力を持つ。

 告発状の存在が報道され、大きな話題となってすぐ、日本レスリング協会は3月1日に「見解」を発表した。一部を抜粋する。

(この項 続く)

2018年3月6日火曜日

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(1)

写真:ロイター/アフロ
女子レスリングでオリンピック4連覇を果たした伊調馨選手(33)が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメントを繰り返し受けていたとする告発状が、レスリング関係者から代理人弁護士を通じて内閣府の公益認定等委員会に出されていた。

 起こったとされる事案、そして告発のアプローチや告発された側の組織防衛的な対応が、昨年11月に起こった大相撲の横綱・日馬富士による暴行事件と構造的に酷似している。ときに上下関係に厳しいムラ社会ともいわれるスポーツ界の問題について、考えてみたい。

告発されたほうは「臭いものには蓋」をしようとする

(この項 続く)

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(4)

広告媒体であり、啓蒙・教育媒体


――お持ちいただいた世界地図を拝見します。各国の中に、それぞれのお国言葉が書き込まれていますね。

松岡 これは『世界の言葉で「ありがとう」』という商品です。地図全体の大きさは縦535ミリ、横775ミリのなかで、下部の縦75ミリ幅で広告や、購買主のメッセージなどを入れてもらいます。

――つまり壁貼り広告媒体ですね。

松岡 その通りです。貼られている期間が長いし、同じ人たちが繰り返し見るので、大きな訴求効果があります。

――メッセージのほかに、その年のカレンダーをあしらったものもありますね。

松岡 はい。カレンダーを表示すると、その年はずっと貼っていただき、見ていただく、ということになります。売れ筋商品としてはほかに、『すばらしい国 日本』(各国との各種比較指標を掲げている)、『みんなで守ろう美しい地球』(各国の環境指標)、『日本と世界の偉人達』(主要国で輩出した偉人の顔イラスト)、『世界遺産めぐり』などあります。そのほか発注主のご要望に応じてオリジナルな内容を盛り込むこともお受けしています。


(この項 続く)

2018年3月5日月曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(3)

――それで、すぐに世界地図ビジネスに転進なさったのですか。

松岡 私は実はボランティアをするのが大好きだったんですね。ですからできた自分の時間をボランティア活動に使おう、と思いました。

――それが、なぜ世界地図ビジネスへつながったのですか。

松岡 亡くなってしまいましたが、カンボジアに内田弘慈さんという友人がいました。現地で孤児院を開設、運営していた篤志家でした。
内田さんのところに遊びに行ったら、現地では泥水を沸かして飲んでいるんですね。とても驚き、考えさせられました。それで、これは井戸を掘ってあげなければいけない、と思ったわけです。
私の経歴だと、普通は「学校をつくってあげよう」ということもあったかもしれませんが、その前に「なんとか綺麗な水を飲んでもらおう」と思いました。井戸のほうが優先順位が高い、と強く思いました。

――その原資として、御社を創業されたのですか?

松岡 自分の塾(財源)を手放してしまったことを後悔しました。しかし、嘆いていても仕方がないので、可能性を見いだしていた世界地図で収益をあげて、第三世界への井戸提供に寄与しよう、と思ったのです。

松岡 当社では、定款に最初から「世界地図の制作・販売」と並んで「井戸を掘ること」を謳いました。結論から言うと、井戸掘りの資金稼ぎのためにつくった会社です。

広告媒体であり、啓蒙・教育媒体



(この項 続く)

2018年3月4日日曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(2)

第3世界に井戸を掘るために会社を興した


――世界地図という社名がユニークです。

松岡代表(以下、松岡) 世界地図の製造・販売以外は何もしていません。創業して12年になります。今まで延べ550万枚の世界地図を販売してきました。

――御社の世界地図の現物がここにありますが、結構大きい。

松岡 標準的なものは、新聞紙を見開きにした大きさです。これよりやや小さいものも商品としてはありますが、大半は新聞紙見開き大のものをご購入いただいています。

――地球儀や日本地図は手がけていないのですか。

松岡 はい、当社は名前が示す通り、壁貼り型の世界地図一本です。

――松岡代表は74歳でいらっしゃるので、御社を創業なさったのは61歳のときですね。どんな経緯で創業なさったのですか。

松岡 四国の松山市で学習塾と予備校を長く経営していました。その時から、世界地図を生徒募集の販促物として活用していました。それで、世界地図を貼ってもらうということの効用の大きさに気がついたのです。生徒募集でも実際とても効果がありました。毎年松山市を中心に愛媛で10万枚を特に小中学校に配布して、自宅や教室に貼ってもらったのです。

――どのくらいの規模の塾を経営なさっていたのですか。

松岡 3,000名の生徒を集めていまして、県下で2番目の規模でした。東進衛星予備校のフランチャイズにもなっていまして、東進予備校傘下のフランチャイズ塾としては全国最優秀加盟校として10年間連続全国1位表彰されています。

――大成功なさっていたのですね。

松岡 60歳を過ぎましたので、塾を東進の運営元であるナガセに引き継いでもらい、これからは自分の時間を持とう、と思ったわけです。

――それで、すぐに世界地図ビジネスに転進なさったのですか。

(この項 続く)

2018年3月3日土曜日

61歳で起業、世界地図を売りまくり、発展途上国で井戸を掘りまくる松岡さんの野望(1)

株式会社世界地図代表・松岡功(まつおか いさお):愛媛県松山市出身。1943年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。30年間、塾・予備校(生徒数3,000名)を経営。「社会に貢献する子供を創りたい」という理念をかかげ、多くの若者を世の中に送り出す。2006年に第二の人生をスタートさせ、水不足の発展途上国への「井戸掘り活動」と、その資金稼ぎの「世界地図の普及」に賭ける。世界地図は「人々に夢と希望を与える」きっかけづくりとなるため、早く世界中に普及したいと、広告媒体や商材として制作・販売している。2018年1月現在、井戸は392基完成、世界地図550万枚を販売。

図書館や学校の教室などの壁に貼られた世界地図。その製造・販売会社で四国・松山市に本社を置く株式会社世界地図は、「世界に井戸を掘る」という高邁な活動の原資づくりを目的として事業を展開している。今回は60歳を過ぎてこの新ビジネスを立ち上げた同社の代表、快男児・松岡功氏に話を聞いた。

(この項 続く)