その告発状は伊調選手本人が出したものではなく、いわば事態に憤慨した複数のレスリング関係者が提起したという。そのなかには、オリンピック出場経験のある選手もいるそうだが、告発者は表に出ることはなく、貞友義典弁護士が代理人となっている。
「この告発状は、五輪出場選手を含む複数の協会関係者から依頼され、作成したものです。(略)しかし内閣府は『参考にする』と言うのみで、一ヶ月以上経っても調査に動く気配すらありません」(貞友弁護士、「週刊文春」<文芸春秋/3月8日号>より)
告発状の概要はすでに大きく報じられているので、ここでは告発されたほうの対応に触れておきたい。告発されたのは、伊調選手の恩師でもある栄氏だ。栄氏は五輪女子金メダリストを複数輩出している至学館大学レスリング部の監督であり、日本レスリング協会で男女を統括する強化本部長でもある。いわばレスリング界で一定の権力を持つ。
告発状の存在が報道され、大きな話題となってすぐ、日本レスリング協会は3月1日に「見解」を発表した。一部を抜粋する。
(この項 続く)
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