2012年1月31日火曜日

印彩土亭 落語勉強会 納会 圓窓師匠を囲んで


インサイトラーニング社でセミナー講師を務めている先生方が昨年後半、大真打ち三遊亭圓窓師匠を迎えて勉強会を行った。

5回にわたって稽古をつけてもらい、最後は年末に某ホテルの大会場を借り切って無謀にも発表会というか、印彩土寄席を挙行した。昨日は、その打ち上げというか納会。師匠を迎えて楽しく談笑。落語の奥深さなどを語り合う。

インサイトラーニング社は、コミュニケーションの分野では隠れもない日本有数の研修会社である。その先生方がこの2年間、講談1期、落語2期を勉強してきた。そしてまもなくマジックの第1期(いずれも各6回、発表会付き)の勉強会を催してきて研鑽を続けている。いずれも超一流のプロにお願いしてのことだ。

私自身は今回の落語第2期だけ参加させて貰ったわけだが、皆さんの意欲と自覚はやはりさすがのものが有る。

「社長のための勉強法」 連載17

オフ・ビジネスでも自分磨きを(3)

①先人経営者から学ぶ

 ビジネス書のベストセラーには新興企業や新しい業態での成功経営者の情報が多く、目新しさから、つい目がいきがちになる。しかし社長が学ぶべきは、やはり実績を残して老成した大経営者の言葉だろう。さしあたって、次のような経営者や学者の本から学びたい。

・松下幸之助
・小倉昌男
・金川千尋
・柳井正
・ジャック・ウェルチ
・ピーター・ドラッカー
・ハロルド・ジェニーン

2012年1月30日月曜日

「稼げる人稼げない人」 竹内正浩 書評121


「30代で年収3000万円を実現した300人に聞いた!稼げる人稼げない人」というのが正式なタイトル。東洋経済新報社、2010年刊。

興味のある題材を途方もないエネルギーで調査して、共通項を求めようとした書。ビジネス書に良くある、「どこかに書いてある二次情報」を継ぎ接ぎしてでっち上げたモノとは全く異なるオリジナルの知見を求めた労作。

巻末リストに、調査を受けたyong millionairesの中に一人、お世話になっている弁護士の先生があった。また、経営者ブートキャンプにはこの調査対象となるような創業経営者が何人も参加しているし、私自身の外資仲間でも同様な人物には出会ってきた。私はあまり異世界観を感じない読者だ。

そんな立場の私が読んでも、著者が取り纏めてくれた「30代3千万円人間」に関する知見は示唆に富むし、納得感がある。
ー 一般人と比べてそんなに能力差はない
- ある一つの領域で「死ぬほど働く」
- お師匠、あるいはメンターとの出会い
- 自分がやりたいことをしっかり見極めている

最後の項目に私は特に同感。自分が好きなこと、やっていて居心地の良いことを早い段階で自覚できれば、その分野でハードワークとなることは苦役でなく快楽となる。別の言葉で言うと、自分の価値観を見いだし、それに照らしながらワーク・ライフを組み立てると上手くいくということだろう。

グッド・ルーザー、グッド・ウィナー 全豪決勝


5時間53分という、4大大会決勝での最長試合を失ったのはラファエル・ナダルだった。
「ノバクおめでとう」
の第1声の後に
「厳しい試合の連続だが、いい試合が出来て、今はとても幸せだ。特別な大会になった。また戻ってきたい」
と続けた。

一方、今や無敵のチャンピオンとなってきたジョコビッチは
「ナダルはベストプレーヤーの一人。一緒に新たな歴史を作れてうれしい。また決勝の舞台で戦いたい」
と。

すさまじい技量の応酬と素晴らしいスポーツマンシップに酔いしれる。

2012年1月29日日曜日

社長のための勉強法」 連載16

オフ・ビジネスでも自分磨きを(2)

「経営技術」の勉強法については前述したが、オフ・ビジネスでは「経営哲学」の向上に努めるべきだろう。全社員を率いて奮励督励できるような「人間力」の向上をめざそう。社長は最終的には社員から尊敬されなければならない。そのためには「人間力」が必要である。

 スティーブ・ジョブスは社員に対する接し方が時に横暴で、専制君主のように振る舞った。商品開発を目標期日に合わせるために徹夜仕事を強いたこともしばしばだったという。それにもかかわらず、彼は部下たちに尊敬され、心酔されていた。彼の死去に対するアップル社従業員の弔意を見ればそれがよくわかる。そのような、社員を惹きつける「経営哲学」や「人間力」を身につけ、高めるには、どういった勉強をすればよいのだろうか。

2012年1月26日木曜日

「社長のための勉強法」 連載15

オフ・ビジネスでも自分磨きを(1)

 「常在戦場(じょうざいせんじょう)」という言葉がある。江戸時代、長岡藩の藩訓として伝わったもので、同藩の『参州(さんしゅう)牛(うし)久保(くぼ)之(の)壁書(かべがき)』という書物で説かれた言葉とされている。日本海軍の山本五十六連合艦隊司令長官が座右の銘としたことでも知られる。

 意味はもちろん、「トップリーダーたるもの、いつでもどこでも平時でも、戦闘に臨んでいるという心構えでいなければならない」ということだ。社長という立場にあるのなら、やはり「常在戦場」の心構えで自分磨きを続けなければならない。

「社長力養成講座」小宮一慶 書評120

ディスカバー携書 2009年刊。

私が3月に「雇われ社長のプロの仕事術」(ぱる出版)を出すことになったので、先行書の一つとして開いてみた。とはいえ、拙著の方は脱稿しゲラ校も終わっているので、今更参考にさせて貰ったわけでもない。小宮氏が多数のビジネス書を出されているコンサルタントと言うことで興味があり、同氏のご本としては初めて読ませて貰った。

小宮氏の主張には同意するところが多かった。例えば
― 経営者になったら部下がする仕事はするな、大きな仕事は「方向付け」で、間違った方向にきっちりとした「管理」など決してしてはいけない.
― 新規事業より既存事業で上手くやれ。
ー 主要顧客の顧客満足度をあげろ。
ー 和気あいあいにするのは実力のないリーダー。   など。

未来、過去、現在の取り扱いについてはどうだろう。
― 「未来をことさら予測しようとしないこと」と「目的がビジョンが必要だ」というのは相反に近い命題立てかも知れない。両方とも未来に関することだからだ。
ー 「現在と過去をコツコツ勉強すること」。でも、分析だけをしても新しい方向は出てこない。私は、「気づき」と「思い付き」が大切だ、と書いたのだけど。
― 「人材育成の重要性」と「適当な人をバスに乗せる」は対立する経営技法だと思うが。後者は採用なわけで、「人材育成よりも採用だ」ということになる。
ー 「まっすぐな枝を最初から選んだ方がいい」とも言っているが、それが難しい。経営技法の中で、採用が最も難しいジャンルな訳です。小宮さんは経営者ではなかったので、原則論をかざしている。問題は、それをどう実践に落とすか、というのが現場の社長さんの悩みなのだが。

2月8日(水)『〈超実践的〉経営戦略メソッド』 出版記念公開セミナー


下記のセミナーの中で、経営者ブートキャンプ第5期(5月開講)詳細の説明がある。まだ若干の席があるのでご興味のある向きは早々に。昨日同じセミナーがあり、こちらも盛況だった。

山田修氏が主任講師を務める経営勉強会に参加しませんか。
山田氏が長年の歳月をかけて一つ一つ解き明かし完成させた魔法のような戦略パッケージ。
「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法であなたの頭の中に詰まっていたものをどんどん引き出し、目から鱗の解決策・戦略が生み出される!

■2012年2月8日(水)開催
『〈超実践的〉経営戦略メソッド』 出版記念公開セミナーのお知らせ
講師:山田 修
6社を再生させたプロ経営者が教える!
社長・幹部のための、儲かる・成功する勉強法&戦略立案法
日時:2月8日(水)
16:00-18:00/19:00-21:00 (同内容;どちらか)
会場:恵比寿駅5分・経営者JPセミナールーム
参加費:5000円 (出版記念特別価格)
【詳細・お申し込み】 経営者JP
http://www.keieisha.jp/seminar120125.html

(経営者JP メルマガから転載)

2012年1月23日月曜日

「私はどうして販売外交に成功したか」フランク・ベドガー 書評119



ダイヤモンド社1964年(!)刊。

原著は1960年に書かれている。アメリカでもまだ増刷が続いていて、あちらのアマゾンを覗くと今年の1月11日付での読者レビューがアップされている。半世紀以上続くビジネス書の大ロングセラー。

著者の経歴がまずおもしろい。マイナー・リーグの野球選手だったベドガーは大リーガーとなったが、思わぬ骨折で引退した。保険の外交になったが、全然売れない。その後どのように凄腕のセールスマンに変貌したのか、その教訓は何か、などを書き連ねている。

営業用の教科書としては、50年前に出たこの本だけ世界にあればよいのではないか。おもしろいし、実用に落とせるし、適当に短い。大ロングセラーには当然理由があった。

「社長のための勉強法」 連載14

日々の経営から学び積み上げよう(4)

③戦略の立案力

 個人商店から脱皮して、組織でビジネスを動かしていくのが効率的だが、うまく指揮していくためには、社長自身が経営戦略を立てられなければならない。戦略なき組織は右往左往するばかりで機能できない。

 戦略の立案法を独習することは難しい。拙著で恐縮だが『超実践的経営戦略メソッド』(日本実業出版社刊)を参考にしていただきたい。戦略カードを駆使して各社独自の経営戦略が立てられるように書かれている。

2012年1月22日日曜日

「チャイナマネーを追え」奥村尚樹 書評118

総合法令出版、2010年刊。

桜井よしこ氏の講演(1月20日ブログ)で中国の軍事的拡大策について啓蒙された。関連して、経済的な拡大策についての知見を確認しようと本書を開いた。

本書はまず、中国本土人が個人ベースでどうして海外投資、特に不動産投資に傾注するのかを文化経済学的に説明している。歴史的に国家を信じることが出来ず、家族やファミリーだけで助け合おうとする、いつでも逃げ出せる流浪の民という特性が中国人で、華僑(本土以外に出た中国人1世)華人(2世以降)の大量発生もこの文脈からのことだった。日本・華僑華人学会の設立発起人としてこの分野の専門家であった私からして、このあたりの著者の分析や整理は的確なモノと言える。中国人の個人マネーが向かっている国の理由は良く理解できる書だ。「国」だけではなく、「都市」までピンダウンして論じることも出来たはずではあるが。

日本人読者が著者により啓蒙されるのは、中国から飛び出している資金の投資先に付いていけば、手堅く儲けられる、という点だ。著者は具体的にマレーシアだという。
その選択についても良いのかも知れない。とはいえ、著者のビジネスが海外不動産投資コンサルタントであり、紹介業であるので、ご自分のビジネスをアピールする側面が本書にはあろう。

実は著者の会社が昔東京で開いた、上海マンション投資セミナーに出席したことがある。中国からの投資回収にリスクが感じられ、購入には至らなかった。マレーシアではそのようなリスクは無いと思うが。

「社長のための勉強法」 連載13

日々の経営から学び積み上げよう(3)

②組織の最有効化
 「売れる仕組み」は、「外(顧客、市場)」に対して構築するものと、「中」に築き上げるものがある。会社の「中」に仕込む「売れる仕組み」が組織というわけだ。自身が先頭に立って引っ張る社長は多いが、組織や権限委譲などを考えずに展開するやり方は、社員数が二〇名ほどになると限界に近くなる。三〇名になると、完全に効率が悪くなる。
 
 そうならないよう、社長は自社にとって有効な組織構成を考えなくてはならないのだが、世に出ている組織論の書物などは大会社・大組織を念頭に置いて書かれたものが大半で、小規模会社の組織にはそぐわない。
 私は、組織に関しては「信頼できる少数の個人から学ぶ」のがよいと考えており、「社長は社内に“同志幹部”を一人つくれ」と勧めている。信頼できる特定の幹部と徹底的に、かつ頻繁に自社の効率のことを話し合いながら、組織に関する知見を深めていく。現組織の改変や重要な人事案をシミュレーションしながら議論する。

 あるいは外部に相談できる先輩経営者や元経営者を見つけて、「社外メンター」をお願いする。この場合は、仕事上の関係がない人物のほうがよいだろう。

九段クラブで年金問題 遠藤忠彦会員

九段クラブは故水谷栄二先生(写真)の元に国際関係学院での教え子有志が集まり組成した月例勉強会。何とまもなく30年周年となる。21日(土)は遠藤忠彦会員が日本の年金問題を、世界各国の制度や現状と絡めて説明。

遠藤氏はつい最近Benefits & Compensation International誌12月号にPension Reform in Japanという論文を何頁にもわたって発表したばかり。この世界的な専門誌に寄稿すると言うことは、自然科学者がNature誌に論文掲載するような権威有る話である。

遠藤会員の説明を要約すると、
― 60才という日本の年金支払い開始年齢は世界的に一番早い。
― 日本人の平均寿命は世界で一番長いので、支払期間は一番長くなる。結果、支払総額は大きくなる。
― 受け取り者を年金支払者(現役)が支える率は世界で最も高負担。「昔、胴上げ」「今、騎馬戦」「もうすぐ肩車」の負担と推移する。

この算数的な構造から明らかなことは
― 延べ受給額が悪化していくか、
― 税金からの補填が必要か
のどちらかで、野田政権の「不退転の決意」が実現するか。

2012年1月21日土曜日

コダック倒産 「イノベーションのジレンマ」の呪い

イーストマン・コダック社がチャプター11を申請し、実質倒産した。

銀塩フィルムに固執したのが倒産のルート・コーズである。しかし、同社がディジタル・カメラの開発社であった事実は、経営戦略選択の上で興味深い観察事例だ。

銀塩フィルム分野での覇者であったからこそ、同社は新しい技術であるディジタル・カメラの世界で先頭に立つことを”望まなかった”。このことは私が前著「超実践的経営戦略メソッド」(日本実業出版社)で、イノベーションのジレンマに対峙した企業例として、昨年指摘したばかりだ。
同社は結局自社が強固に構築したバリュー・ネットワークの呪縛から逃れなかったのである。

しかし従来のバリューネットワークの呪縛から逃れるかどうかも、結局戦略的な選択である。
同様な状況に直面していた富士フイルムが、それを契機として銀塩フィルム以外の分野に積極的に出て業容を変貌させた。今では化粧品や液晶ガラスに貼りこむフィルムなどの素材メーカーになっている。
いずれ社名を変更するか、B-to-Cでは別ブランドを設定する必要があるだろう。

「社長のための勉強法」 連載12

日々の経営から学び
積み上げよう(2)

① マーケティング
 経営の原点は商売だから、経営者の原点は商売人でなければならないわけだ。マーケティングとは簡単にいうと「自社の商品(サービスも商品)が売れる仕組みを考えること」ということだ。「売れる仕組み」ができて初めて、その先に「儲かる仕組み」が構築される。
 顧客に対しての日々のビジネスを通じて、マーケティング=「売れる仕組み」を考えるヒントにいつもアンテナを張っておこう。その際の考え方として、私は、「顧客にとって“不”のつく言葉を探せ」とよく言っている。“不”のつく言葉とは、たとえば次のようなものだ。
 不便/不満/不足/不都合 /不安/不信/不可能/不良(品)/不利/不詳/不手際
 顧客や市場側で起こっているこれらの“不”がつく事象に気づき、それらを軽減・解決できる「仕組み」を考えつくことが、成功するマーケティングの第一歩である。マーケティングはセオリー体系としてよく整理されている。入門書などの書物から学んでもよいし、一日から数回にわたるセミナーも盛んに開かれている。経営者がいまからでも独学できる分野である。

2012年1月20日金曜日

桜井よしこ氏、東アジア情勢に警告


日本経営開発協会主催の「全国経営者大会」が1月18日(水)から三日間にわたり帝国ホテルで開催された。招待されたので最終日20日(金)に終日聴講させて貰う。

三日間の大トリとして桜井よしこ氏が「この国難をいかにのりこえるか」というタイトルで講演。大震災の話かと思ったら、中国の拡大政策に対する警鐘だった。丁度台湾総統選挙に「国際選挙監視団」の一員として乗り込んできたばかりという知見から、台湾選挙への中国の影響・関与を具体的に指摘されていた。

昔から、この美しくて丁寧な女性がとても直裁な物言いをなさると思っていたが、その指摘・主張はますます強まっている。北朝鮮の日本海側に面する港を中国が60年租借し、そこに中国から通ずる道路も租借したこと、その港を軍港として青島から軍船が出入りし始めたことから、日本海側への軍事的脅威が増大したことを指摘した。

さらに、これに呼応するタイミングで、佐渡島で中国からの帰化日本人が広大な土地を取得したら、そこに銭氏(前中国外相)が直ちに訪問したこと、左翼的な新潟市の新市長が同様に、新潟駅前の一等地5千坪を中国に売却しようとして問題になっていることなどの指摘も印象に残った。

桜井よしこ氏の主張は昔から、事実に基づく主張・理論形成である。とても一貫して、徹底している。だからその結論が一見ラジカル・右的に聞こえることがあっても実は耳を傾けるべき内容である。

いつか暗殺されたり、陰謀に巻き込まれて失脚しなければよいのだが。真面目に心配する。

2012年1月18日水曜日

次作は3月にぱる出版から

新著作のタイトル:

「伸ばす社長」の仕事の流儀
~社長がやるべき4つのこと{繁栄の黄金律}~

業績を回復、伸張させる経営モデルである「繁栄の黄金律」をベースに、それを構成する経営行動の4つのグループを個別に解説。最終章では、「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法を分かりやすく解説。

セオリーや学説に深入りしないで、経営を上手くやる秘訣を分かりやすく解き明かした書となる。

ぱる出版から3月に刊行の予定。
ゲラ校を実施中。

2012年1月17日火曜日

理論経営学と平安文学研究 「企業家とは何か」 池本正純 書評117



IASM(国際経営戦略研究学会)

戦略経営理論実践研究会1月例会に出席。報告者は池本正純氏(専修大学・経営学部・教授)、テーマは「企業家論の視点と組織理論」。

30名ほどの経営学者が出席し、質疑も活発でおもしろかったし、勉強にもなった。
今日のブログで書こうと思ったのは、池本先生の発表の内容のことではない。先生が主として論じられたテキストのことである。ほとんど原書が挙げられた「出典」で中心とされたのはR.H.Coase(コース)の1937年(!)の論文。池本先生はコースの理論を紹介したご著書を1984年に出され、その後のお考えをまとめられたモノを「起業家とは何か」(八千代出版)として2005年に上梓されている。企業家論の分野では著名な研究者だそうだ。

質疑のところで、企業社員研究者らしき方が、
「1937年の理論というと、現在の大企業の経営にはそぐわないのではないか」
という質問をした。
池本先生のお立場は、
「企業家ということで、大企業の話ではない。あるいは大企業にも企業家型経営者が出ている」
とのお答え。

タイトルに付けた「理論経営学」は、「理論経済学」から掛けた私の造語。
私の最初の専攻は9世紀に書かれたと思われる「伊勢物語」だった。平安文学研究と経営学の本質的な違いは何かというと、後者は実学だ、ということである。つまり学問でもあるが、現世利益に貢献を期待されているモノでもあろう。いろいろ考えさせられた一夕だった。

「社長のための勉強法」 連載11

日々の経営から学び
積み上げよう(1)

 「経営者ブートキャンプ」や社会人経営大学院に参画しての学びは、本格的で体系的なものだ。しかし、時間などの負担を考えれば「意を決しての特異な学習体験に身を投じる」という性格がある。そんなところまで踏み切れない経営者の場合は、日々の経営の実践から自ら「学び」を深めていくほかはない。

 ではどうすべきか。私自身は、引退するまでに六つの会社を任されて経営してきた「プロの雇われ社長」だった。その体験から言わせてもらうと、経営者としての実力を高めていくためには、強くなっておかなくてはならない三つの主要な分野がある。以下、述べていこう。

2012年1月14日土曜日

パジャ・ポス社 池本克之社長が 「早く・上手く・楽に儲かる」を伝授



ドクター・シーラボ社とネットプライス社の2社を上場に導き「上場請負経営者」と謳われた池本特別講師が、今日の経営者ブートキャンプで特別講義。

1時間講義をしてくれ、参加者全員と活発な質疑応答を1時間。さらにその後、「戦略カードとシナリオ・ライティング」により戦略策定をしているグループ・セッションの一つを2時間受け持ってくれて、個別に指導をしてくれた。トップ経営コンサルタントからの直接かつ実践的なアドバイスに参加者は大満足。

午前中は事前読書課題「スティーブ・ジョブス驚異のプレゼン」とジョブスの実際のプレゼン(you tubeの日本語字幕付きのモノ)を見てきて貰っての討議と、私による「経営者のためのプレゼンテーション」指南。

ブートキャンプの今期は後2回。次回からは、参加者の三年戦略計画の発表も始まる。

2012年1月12日木曜日

「社長のための勉強法」 連載10

経営者ブートキャンプとは(続き)

 以上のような特長に磨きをかけ、第四期までを順調に開催してきた。参加者の満足度は非常に高い。たとえば第二期の参加者は一人を除き全員が継続受講を望み、致し方なく、ここから継続受講の人数枠を設けたほどだ。

 どのような人たちが参加しているかというと、創業経営者、大企業の事業部長クラス、外資系企業の社長、コンサルタントなど。年齢は上が七十代から、下は二十代の創業社長まで幅広いが、中心は三十代、四十代である。規模的には中小・中堅が過半。「経営の勉強を続けたい」と国内外のMBA保有経営者も毎回数名参加する。もちろん学歴など関係なく、意欲と志のある経営者を歓迎しており、事実、集まってくれている。

 課題図書を読み、書式指定・一ページ限定の感想文の提出を求めたり、戦略カードのカード出しを宿題にしたりと、作業もかなり多いが、皆さん喜々としてこなしている。学期の最初と最後で、経営者としての自覚や技量が明らかに上がる参加者の変化を目の当たりにできることも大きい。起業前に「創業のヒント出し」のつもりで参加した受講生は、「戦略の策定と発表」を契機に思い切ってビジネスを始めてしまい、成功裡な滑り出しを見せている。このように、セオリーだけでない、実践・実効の学びの場が「経営者ブートキャンプ」なのである。

2012年1月10日火曜日

行動分析学マネジメント 舞田竜宣他 書評116

日本経済新聞出版社、2008年刊。

良い本である。ここで「良い本」には二つの意味がある。

まず、内容がよい。企業組織の中で部下を指導したりリーダーシップを発揮するのには様々な手法があり、管理職や経営者は試行錯誤的に有効な方法を選び、行使してきた。その方策の選択により、リーダーシップにはいろいろなスタイルやバリエーションが生まれてきているわけだ。
本書は、私たちが直覚的に行ってきたリーダーシップを、行動分析学というできあがったセオリーにより解説してくれている。
経営学で、セオリーを学ぶことの有効さを如実に体得できる好著だ。「まず知って、それを実践」すれば、効率がよいし、過ちがない。

次によいのが構成である。各章の始まりにケース・スタディを持ってきている。それはもちろん架空のケースだが、16章を通じて同じ企業での場面を変えての展開となっている。そして、どの章でも行動分析学のスペシャリストでもあるHRビジネス・パートナーとか言う耳慣れない職種の人物が活躍する。
仮想ケースの設定に瑕疵をあげつらうことも出来るが、それよりも出来の良さの方を褒めたい。ケースの後に、専門用語とセオリーの解説が続くという章構成であり、展開である。理解しやすい。

経営戦略立案実践セミナー、3月に東京大阪で

「戦略カードとシナリオ・ライティング」の使い方と、技法習得演習の公開セミナーを3月に行う。

みずほ総研 セミナー
「実践!有効な『経営戦略』はこうして作る」
「戦略カードとシナリオ・ライティング」活用演習付き
大阪: 3月13日(火) 10:00-17:00
東京: 3月15日(木) 10:00-17:00

SMBCセミナー 部長力養成講座 
戦略の立て方と活用法【午前】
コミュニケーション力を磨け【午後】
「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法説明付き
3月17日(土) 10:00-17:00

それぞれの詳細と申し込み法は、私のサイトに入る(本日のブログタイトルからリンク)と、トップページの左下に。

2012年1月9日月曜日

「社長のための勉強法」 連載9

経営者ブートキャンプとは(続き)

・毎回、課題図書が出され、経営書を体系的に学習できる。

・少人数(一〇〜一二名)で開催するので、参加経営者同士の親密度が高くなる。毎六回、講義のあと、自由参加の懇親会を設けている。経営者同士の外部ネットワーキングとして、卒業後も機能。参加者同士で実ビジネスも活発に発生している。

・参加者は、経営者・幹部。教える方も全員現・元経営者(それも著名経営者ばかり)で、「経営者の梁山泊」という様相のプログラムとなっている。

2012年1月8日日曜日

「ドイツ参謀本部」 渡部昇一 書評115

祥伝社新書 2009年刊、但し原著は1974年に中公新書より。

経営戦略で温故知新で学ぶというと、「東の孫子の兵法」とならんで「西のドイツ陸軍参謀モルトケ」ということだろう。これに加えて「織田信長以下の戦国武将」というのが、企業経営者以外から経営戦略を学ぶ三大カテゴリーとして定番となってきている。

しかし大モルトケの出現と、その活躍をその前後のプロイセン―ドイツの戦争史にからめて、日本人読者に活写啓蒙したのは、まさしく著者の功績で、本書が渡部昇一の「出世作」として認識されている由縁でもある。

経営戦略論的な立場からは、モルトケに関しては本書を読んでおけば十分であろう。新書ではあるが、その書き込みと分析、位置づけは犀利なものなので、経営戦略の先史的な教養としては必要にして十分だ。

末尾の方で著者が開陳している分析、
「リーダー(ここでは政治指導者:ビスマルク)と軍事参謀(モルトケ)の両輪が揃い初めて大きなコトが成されるので、重要なことは2者の存在とそのバランスである」
というのも大いに納得できる。

40年経っても色あせない名著。

本題ではないが、ベストセラーにしてロングセラーである本書が中公新書から祥伝社新書へと発行元を変遷させた経緯について著者が後書きで詳しく書いていて、知識人の矜持というものが理解できて興味深い。

2012年1月7日土曜日

アマゾンでbest100レビュアーのコメントがアップ。今まで全て星5つ。


アマゾンで5つめの読者レビューがアップ。今まで全て星5つ。

(引用)

本書のすごいところは、ビジネス書としての名著、有名コンサルティングが用いる分析手法を真っ向から否定しているところです。

その名著には
○M・Eポーター「競争の戦略」
○ゲーリー・ハメル「コア・コアコンピタンス経営」
等があります。また、否定している分析手法は
○3C
○4P
○7S
等々です。

それだけで興味をそそられる著書ではないでしょうか?

(続きな本日のタイトル・クリックでアマゾンの拙著に)

「社長のための勉強法」 連載8

経営者ブートキャンプとは(続き)

・実績ある講師陣。特別講師がそれぞれ二時間枠を教える。小グループ討議指導に参画する特別講師の方もいる。特別講師は第五期を例にとると、次の方々が務めてくださっている。

新(あたらし)将命(まさみ)氏(伝説の外資企業カリスマ経営者)/
村上憲郎氏(元グーグル社長)/
池本克之氏(ドクター・シー・ラボなど二社を上場させる)/
出口治明氏(ライフネット生命保険社長)/
井上和幸氏(日本一の社長ヘッドハンター)

2012年1月4日水曜日

「社長のための勉強法」 連載7

経営者ブートキャンプとは(続き)

・戦略立案の途中で、三回にわたり小グループ討議があり、他の参加経営者からの助言を受ける。相互展開のグループ討議により、全員が他社実事例から学べる。

・筆者が主任講師として各回、「競争戦略」、「組織戦略」、「リーダーシップ」、「オペレーション戦略」、「プレゼンテーション」などを講じる。

2012年1月3日火曜日

明けましておめでとうございます。

穏やかな新春を迎えた。

今年は、著述活動をのんびり展開していこうと思っています。62才となり、テニス・コートでの衰えを自覚するようになりました。だんだん書斎の人となっていくのかな、と。著作はこの春も1冊出ます。

このブログの一つの性格としてビジネス書・経営書に対して私の感想を書き付ける「ビジネス書評コラム」の部分があります。この2年間に120冊ほどの感想を書き込んだこともあり、この年末に主要な「ビジネス書評ブログリスト」の二つに収載して貰いました。元経営者の視点から、頭でっかちなビジネス書や、道具立てだけ大げさで中身は薄っぺらなあちらの本について、主として辛口なコメントを書き込んで行きたい。

それから、元経営者としてこれからの経営者や幹部の方の成長のお手伝いをしたい。これはセミナーや講演に出かけて思うところをお話ししたり、何と言っても経営者ブートキャンプで本格的に教えることです。

そんなこんなで、今まで勉強したり体験したことを構造の皆さんにお返ししながら過ごしていきたいと思います。
皆さんのお励まし、ご協力、ご助力をお願いします。