2010年8月25日水曜日
「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」武井一喜 書評(46)
クロスメディア・パブリッシング、新刊。
従来「同族会社」と言いならされてきた業態は、ここ20年間世界的に研究が進み、海外ではその名も「ファミリー・ビジネス」と呼ばれるようになっている。著者は、世界的研究機関FFI(Family Firm Institute)から日本人として初めて公認資格を取ってコンサルティングを行っている専門家。
私も実は数年前に『あなたの会社、誰に継がせますか、売りますか?』(ダイヤモンド社)を著しこの分野のことを書いている。私の著書はしかし、「経営承継」という一側面に焦点を当てていたのに比し、武井氏はさすがに専門家らしく、ファミリー・ビジネスをめぐる諸問題、諸要素を隈なく取り上げ、そして提言を行っている。
日本で初の、この分野における専門的な書が出たと言うべきだろう。
本書が触れた重要な点がいくつもある。
1.ファミリー・ビジネスの優位性(一般の常識とは異なっている)。
2.日本企業の80%以上、世界のGDPの70-90%はFBから成っているなど、ビジネス経済界における圧倒的な役割。
3.3代目まで続くのはわずか12%という冷厳な調査結果。
4.「会社は拡大ファミリー」という文化傾向。
5.FBの経営にはリーダーシップだけではなく「スポンサーシップ」が重要という指摘。
6.FBだからこと社外取締役が有用となる。
など。
日本に存在する会社の80%に有用な書である。
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