海外展開を担っているのはモスフードではない
モスの海外展開を実質的に担っているのは、台湾での合弁企業である安心食品服務股ヒン有限公司だ。モスの海外店舗323店(15年6月末)の大部分が、アジアとオーストラリアにある。台湾が240店舗と最大の拠点だ。台湾での店舗はすべて直営で、他のアジアやオーストラリアのオペレーションも安心食品服務が展開している。モスは台湾で大手企業である東元電機と90年に合弁を組んだ。安心食品服務の黄尚仁執行副総経理は、「中華民国台湾投資通信」(April 2012 vol.200)に掲載された記事『日台アライアンス特別インタビュー』でこう述べている。
「最初の10年にオープンしたのが40店ほどだったのに対し、次の10年には180店を開設しました」
苦闘した「最初の10年」とは、皮肉なことに櫻田厚現社長が台湾に駐在して業務開発に直接当たっていた時代だ。現在、モスは安心食品服務に3割ほどしか出資しておらず、現地に派遣している社員も2名のみ。実質的には安心食品服務は現地パートナーによって経営されているといってよい。
(この項 続く)
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