2015年7月14日火曜日

「マック絶不調、モス好調」は正しくない モスが顧客満足度1位なんて本当か?(3)

慧氏が急死した時、甥の厚氏はまだ45歳。台湾での業務開発が長かった。社長が交代すると、それまで本部であるモスフードの営業利益率は10%前後と高いレベルで推移していたのが急減して、現在に至っている。15年3月期は2.3%だ。社長交代によって、本部と加盟店のパワーバランスに大きな変化があったと見るべきだ。

「顧客満足度日本一」への疑問


 サービス産業生産性協議会は、6月10日に発表された「15年度 JCSI(日本版顧客満足度指数)第1回調査」でモスを「飲食総合」部門1位とした。しかし本調査で、例えばしゃぶしゃぶ専門店「木曽路」は7位だが、仲居さんがテーブルで料理をつくってくれる本格お座敷レストランのサービスより、モスのそれが手厚いというのは無理がある。

 つまり、「印象が良い」というだけの調査結果だ。「木曽路より一桁低い客単価の割には、そのサービスの印象がいい」ということだ。そして、木曽路よりモスの総来店客が多いため、得票数は伸びるだろう。

 モスやマックの客単価は公表されていないが、前出の『ハンバーガーチェーンの比較経済分析』によれば、「マック=578.5円、モス=910.4円とモスのほうが50%以上高い」という。それだけ価格帯が離れた2つのチェーンの顧客満足度を比べることも、また無意味だろう。

(この項 続く)

0 件のコメント:

コメントを投稿