「韓国のS-Oil社の場合、かつては35%程度の株主であったサウジアラムコ社が、64%の株主となり社長も送り込まれ、タンカーがサウジアラビアとS-Oil社の間でしか往復しなくなっています。このような轍を踏まないようにしなければなりません」
そのサウジアラムコ社が昭和シェルの株式を15%保有しているので、そんな昭和シェルと組むとサウジアラムコに出光も乗っ取られる、というのだ。
しかし、これはいかにも唐突な後付け的な理由であるし、そんなリスクを予想するなら資本ガバナンス的に予防する方法は十分にあるはずだ。
昭介氏側と膠着状態に陥った出光側は、16年8月15日に記者会見を開き、15年12月、つまり問題が創業家側から提起されたときに、昭介氏から月岡社長に宛てられた手紙を一部公開した。「公開してしまった」とも言える。
その手紙には「あなた(=月岡社長)限りにしてください」とされていたというのだ。実質オーナーからのそんな制限つきの手紙を公開する経営陣の無神経さには、呆れるばかりだ。完全に喧嘩を売っている。
(この項 続く)
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