2016年12月28日水曜日

「2016経営者残念大賞」グランプリ 電通の企業文化を体現する石井直社長(2)

一連の捜査は、15年12月25日に飛び降り自殺をした電通新入社員・高橋まつりさん(享年24)の労災認定が、16年9月末に下りたことを契機とした。自殺に先立つ15年8月に、同社は労働基準監督署から違法な長時間労働について是正勧告を受けていた。

そんな直接的な勧告があったにもかかわらず、高橋さんの過労死を起こしてしまったため、本件は重大な問題として取り上げられている。端的にいえば違法性が大きく、悪質だということだ。世の親の立場からも、東京大学まで行かせた若い娘が著名企業に入社してわずか半年ほどのうちに早世してしまうなんて、と同情と憤激に堪えない事件だった。

 電通が強く指弾されているのは、高橋さんの過労死の過程で当局からすでに行われていた是正勧告を実現できなかったというコンプライアンス非遵守の問題に加えて、過去に社員の過労死が繰り返されてきた点だ。

 東京本社に勤務し13年6月に病気で亡くなった男性社員について、三田労基署が今年、長時間労働による過労死と認めて労災認定をしていた。会社側は「ご遺族の意向で詳細については明かせない」などとしているが、労災申請があるまで遺族側が会社に対してコンタクト、交渉があったと誰でも推測するだろう。

(この項 続く)

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