大塚社長は、昨年春の株主総会で実父・大塚勝久会長(当時)を放逐して経営権を完全に握った。それ以来、業績をさらに低迷させてしまっている。経営戦略の転換ということで「生みの苦しみ」が続いているとみることもできるし、続き過ぎているとみることもできる。
孤高のトップ
大塚社長の発表を見ていて、私はなぜか韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を想起してしまった。2人とも著名な女性リーダーである。公務に専念していて、信念がとても強く、社会や家族から非難され孤立しても職務を投げ出すことはない。強い意志を持つ、いわば孤高のトップである。
しかし2人の大きな違いというと、朴大統領はいまや支持率4%以下という国民から絶対拒否の状態に陥っているのに対し、大塚社長には支持してくれる層が明らかにあるということだ。それは、大塚家具の株主たちだ。現在1250円前後の同社株を年末まで保持していれば、株主配当が一株に対して80円付く。それは昨年の株主総会で、経営権を保持しようとして社長が公約したことのひとつだ。
16年12月期は売上高483億2,700円(前期比100億円減)、最終赤字43億5,800万円の大幅減益が予想されている。しかし同社の場合、どんなに赤字が見込まれていても、実施されるその株式配当は率として現株価に対して6%以上となる。いまどきこんな金融商品は、ほかにはあまり見当たらない。
株主としては、大塚社長に拍手を送り続ければいいということだろうか。
(この項 終わり)
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