LIXIL前CEOの瀬戸欣哉氏(写真:日刊現代/アフロ) |
2つの取締役選任案
会社側の取締役選任案は10名。松崎正年氏(現コニカミノルタ取締役会議長)を取締役会議長に、三浦善司氏(前リコーCEO)を暫定CEOに充てるというもの。ちなみに鈴木輝夫氏(元あずさ監査法人副理事長)と鬼丸かおる氏(元最高裁判所判事)は当初会社側提案の取締役としても発表されたが、両氏は「了承していない」としたため、会社側は株主提案と重複する両氏を除く8名への賛否を問う1号議案と、両氏のみについての2号議案に分けた。
一方、株主提案となった3号案件は、鈴木氏と鬼丸氏を除く6名となり、瀬戸氏がCEO復帰への意欲を示している。
両陣営の取締役選任案は計16名で、LIXILの取締役定員も16名なので、全員が選任される事態も理論的にはありうる。
LIXILの株主構成は、機関投資家が約4割、機関または個人を問わず海外投資家が約7割とされる。このなかで機関投資家の投票に影響力を持つとされるのが、議決権行使助言会社である。機関投資家はその行動を制約する「スチュワードシップ」によって、助言会社の助言を参考にしなければならないからだ。
グラス・ルイスは会社側の取締役選任案を支持
米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と並んで世界の2大議決権行使助言会社といわれる米グラス・ルイスの文書「PROXY PAPER:LIXIL GROUP CORPORATION」(6月12日付け)を今回、筆者は独自ルートで入手した。
同ペーパーはLIXILの株主総会に向けて20ページにわたる詳細なものだが、取締役候補関連の議案に関する結論だけを報告する。
1.会社側提案候補について
鈴木氏と鬼丸氏を含む全員に対して選出投票を勧める。
2.株主提案候補について
濱口大輔氏(前企業年金連合会運用執行理事)についてだけ選出投票を勧め、他の5名(瀬戸氏も含む)に対しては反対投票することを勧める。
同ペーパーには上記提案の根拠として、詳細な分析・評価が記載されている。それについては別の機会があれば触れたいが、「過去、あるいは現状との決別」というセオリーが採用されている。株主提案候補で推奨されなかった5名の候補は、現任のLIXIL幹部たちである。
株主提案候補のなかで濱口氏のみが選出投票を推奨されているが、同氏を含む6名は今回の総会では3号議案としてまとめられている。議事進行上、濱口氏だけ別扱いとされることはないだろう。結果、同ペーパーは株主提案候補全員への反対投票を進める助言として受け止められるだろう。
そしてISSは、会社提案の取締役候補8人のうち6人について賛成を推奨しており、LIXILは「大勢としては会社提案を支持した」との見解を発表している。さらにISSは、瀬戸氏の取締役選任について反対を推奨しており、事態は瀬戸氏側に不利な様相を見せてきたが、その展開に注目したい。
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